科研製薬、「爪の水虫薬」がロケットスタート 通期の利益計画は第3四半期でほぼ達成

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この海外販売はかなり順調なようだ。バリアント社は昨年7月の第2四半期決算の発表時、ジュブリアの米国売上高を2015年に1億5000万ドル、2016年は3億ドルという見通しを示していた。

ところが、今年の1月8日に公表した2015年の見通しではそれが大きく変わった。昨年10~12月のジュブリアの売上高はテレビCM等の効果もあって5000万ドル以上に急伸しており、2015年の売り上げ見通しは3億~4億ドルと、従来から倍以上に引き上げられた。

昨年6月、バリアント社が米FDA(食品医薬品局)の販売承認を得たことを発表した資料の中では、米国における爪白癬症の潜在的な患者数はおよそ3500万人としており、”市場規模”は日本の3倍以上だ。

大型製品に成長するか

科研製薬はクレナフィンについて、「塗り薬という形態が新しさの1つ。これまで国内の爪白癬の薬には飲み薬しかなかったが、塗り薬なら指1本単位での治療が可能になる」と説明する。また6月のバリアント社のリリースでは、既存の飲み薬や塗り薬の効能が限定的だった旨が記されている。海外での順調な売れ行きは、宣伝効果だけでなく、その治療効果が医師に評価されているという見方もできるだろう。

科研製薬の主力である関節機能改善剤「アルツ」(2014年度の販売計画は305億円)は生化学工業からの仕入れ品で、主柱となる自社開発品の育成が課題となっていた。一方、たちまち頭角を現したクレナフィンは、自社開発品で利益率も高い。このペースで行けば、年間売上高が国内だけで100億円を超えそうな勢い。水虫薬は科研製薬を代表する大型製品となるか。ロケットスタートを切った今後の販売動向にさらに注目が集まりそうだ。

長谷川 愛 東洋経済 記者
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