大学が変わる。本気で変える。
このままでは時代の変化に
対応していけない
自分たちは学生たちを、本当にわかっているのか。國學院大學の職員が疑問を抱いたのは一昨年のことだ。2000年以降、國學院大學では学生とのコミュニケーションにインターネットやメールを多用するようになった。学生はどこにいても大学行事や教室の変更、大学からのお知らせなどを確認できるようになった。利便性が向上した一方で、職員が学生と直接顔を合わせる機会は確実に減った。IT化によって、はたしてコミュニケーションは活性化したのだろうか。今、学生たちが何を考え、どんな不安や不満を抱えているのか、大学はどこまで把握しているのだろうか。
そこからが速かった。14年の2月にはプロジェクトチームが発足し、全学生を対象にしたアンケート「学生リアル調査」を行うことが決定。若手職員を主体とするチームはスピード感を持って動き出し、問題や課題の洗い出しから始めて7月の半ばにはアンケート調査の実施にまでこぎつけたのだった。
「学生が大学に何を望んでいるのか、それを知らなければ、より良い教育サービスを提供することはできない。そして大学が変わっていくこともできない」プロジェクトメンバー全員がそんな危機感を共有していた。アンケート調査の回答をビッグデータとして多角的に分析することも視野に入れながら、学生が抱えているであろう課題を分類して七つのカテゴリーに分け、設問の一つひとつを職員が自分たちで考えた。回答次第では自分たちに批判の目が向けられる可能性のある設問もあったが、躊躇する職員は一人もいなかった。
強い思いを持って事に当たった職員たちは、教員や学生を巻き込む形でプロジェクトを進行。國學院大學ではオープンキャンパスなどを行う時に協力する学生スタッフを組織化しており、彼らもほかの学生に呼びかけたり、イベントで調査の告知をしたりしたのだった。