野口さん解説「ダイヤモンドでできた惑星」の実態 太陽系の外にある「系外惑星」はロマンの塊だ

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系外惑星の中には、想像もできないような環境を持つものがいくつもあります。2005年に発見された「HD 189733b」表面が青い系外惑星ですが、地球のような青い海を反映した環境とはまったくかけ離れていました。

巨大ガス惑星で、太陽系でいえば水星よりも太陽の近くにあり、わずか2.2日で公転しています。惑星のある面がつねに恒星の側を向いているため。温度は非常に高く1100度もあります。

「HD 189733b」の観測では、初めて表面の温度をマップ化することができました。すると、惑星表面で最も熱い場所は恒星にいちばん照らされている場所よりもずれていることがわかりました。このことから、惑星の表面では時速7200㎞にもなる猛烈な風が吹いていて、熱を東側へと運んでいると考えられています。強烈な暑さのため、大気に含まれるケイ酸塩の粒子がガラスの雨粒のようになって、強烈な風で横殴りに吹き付けるという、灼熱と暴風の世界であることがわかってきました。

系外惑星「HD 189733b」の想像図(©ESO/M. Kornmesser)

ダイヤモンドでできた惑星?

系外惑星の中には、木星型のホット・ジュピターよりも地球に近い、「スーパーアース」と呼ばれる仲間も見つかっています。かに座55番星Aを公転するスーパーアースのひとつ「かに座-55e」は、2004年に発見された地球の約8倍の質量を持つ系外惑星です。かに座55番星Aは太陽と同じG型の恒星で、かに座-55eはそこから約0.015AUと非常に近くにあり、わずか17時間41分で公転しています。

次ページかに座-55eの表面はダイヤモンドと黒鉛でできている
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