日経平均、「モグラ叩きゲーム」終了へ 再び1万8000円突破が見えてきた

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また、最近市場を騒がせた原油安については、WTI原油先物価格が一時1バレル54ドル台をつけるなど、一方的な価格下落には歯止めがかかったような動きを見せた。この要因は、米国での稼働リグ(油田、ガス田の基地)数が、直近ピークである昨年9月19日の1931基から、直近1月30日には1543基に20%減少した、と報じられたことだ。

このうち油田リグの稼働数は24%も少なくなっており、原油需給改善の期待が広がった。「原油安モグラ」もいったんは退散したように思われる。

それでも現れた、3つの新たな「不安モグラたち」

ところが先週は、またぞろ「不安のモグラ」が、ばらばらと三つほど現れた。一つは、豪州の利下げが引き起こした市場の波乱だ。豪州準備銀行は3日(火)に、政策金利を0.25%幅引き下げ、史上最低の2.25%とした。

豪州自身の経済状況が悪化しているというより、おそらく多くの諸国が金融緩和姿勢を強めていることに対応したものであろう。利下げ観測はすでに事前に海外市場でささやかれ、金利先物市場もその可能性を織り込みつつあった。それだけに、外為市場が「予想外の利下げだ」と騒ぎ、豪ドル相場が大きく下振れしたことは予想外であった。

この豪ドル安が、米ドルやユーロなどの他主要通貨も対円でツレ安にするという役割を演じ、「米ドル安円高」を嫌って、日本の株価も一時下振れした。いわば「コアラショック」とでも言える波乱だったが、もちろん豪州の利下げが、何か深刻な事態を示唆しているわけでは全くない。

米ドルや日本株に利食いを入れたい向きが、ちょうどよい売りの口実に使った、ということだろう。いったんは対円で90円を割れた豪ドル相場も、今は93円手前まで回復している。

二つ目のモグラは、ギリシャの財政問題だ。先般の総選挙で政権を握った急進左派連合は、今後の財政政策について、いわゆる「トロイカ」、すなわちEU(欧州連合)、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)とは交渉しない、という姿勢であったが、独自案(GDP連動国債の発行など)を打ち出して、トロイカと協議する意向を示した。

ところがECBは、銀行向けの国債担保融資(民間銀行が国債を担保に供出して、ECBから低利で融資を受けられる)について、ギリシャ国債を担保対象から外すとの意向を表明し、その直後はユーロ相場が大きく下振れする展開もあった。

このECBの方針変更で、ギリシャ国債を保有する同国の銀行が、ECBから低利融資を受けることが苦しくなるが、一方でECBは、傘下のギリシャ中央銀行から同国の民間銀行向けの資金繰り支援は容認する姿勢であり、この騒ぎもいったん落ち着きに向かっている。実際、前週末の6日にはS&P社がギリシャ国債の格下げを行なったものの、ユーロの反落は限定的にとどまっている。

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