原油価格の高騰続きインフレ懸念が高まれば、欧州の周辺国には打撃《アフリカ・中東政情不安の影響/専門家に聞く》

伊藤さゆり・ニッセイ基礎研究所主任研究員

欧州は、北アフリカ、中東と地理的に隣接し、歴史的なつながりもある。欧州各国は政治の面で見ると民主主義、法の支配、市場主義といった観点から、民主化のながれは支持するという立場だ。原油を域外に依存しているので、その安定供給という観点からも、民主化が着実に進展することは望ましい。

ただ、次々にドミノのように倒れていった場合は悩ましい。東西冷戦の崩壊で、中東欧の民主化が進んだときには、欧州経済への回帰をはかる、将来はEUに加盟するという流れもあり、援助しやすい環境にあったが、アフリカや中東はそうではなく、あまりコミットできない。

経済的な影響は欧州に対して特別に大きいとは見ていないが、原油価格の高騰が続き、インフレ懸念が高まる事態になれば、マイナスの影響が出る。2007~08年前半までの原油価格高騰のときには、為替相場もユーロ高になったので、ある程度は影響を吸収したが、いまはユーロ高ではないのでそれは期待できない。

欧州の経済は二極化している。ドイツは設備の稼働率も高く、雇用も平時並みかそれを上回る好調が続いている。食料品の価格やエネルギー価格が高騰して物価高となれば、賃上げ要求も高まる。また、インフレ懸念から輸出先である新興国が金融引き締めを強化すれば、経済の下押し要因となるリスクがある。

また、周辺国は厳しい緊縮財政を強いられ、公務員給与の凍結や引き下げ、増税などで国民の生活は苦しくなっている。ギリシャ、アイルランドは債務再編に進まざるを得ないと見ている。ポルトガルも厳しい。そこへインフレが起これば、ますます再建は難しくなる。
(大崎 明子 =東洋経済オンライン)

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