日本人は、まだ「豪華客船」の楽しさを知らない 世界大手が、日本市場開拓に注力

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さらに日本仕様を深めているのが、日本で就航中の「ダイヤモンド・プリンセス」だ。この大型客船は2004年に三菱重工で建造された客船で、日本就航を機に、本格寿司レストラン「海(Kai)寿司」、オーシャンビューの大浴場「泉の湯」を新たに設置した。これは、まさに日本式の温泉であり、入浴時に水着をつける必要はない。ただし日本発着のクルーズ以外では、外国人客に配慮して水着着用となる。

「高品質なおもてなし」の評価は、高いリピート率となって表れているという。クルーズ中に船上で次の旅の予約をする人も多く、約20%にのぼるという。船上予約をすると次回の乗船時に利用できる特典がつくことも、高いリピート率の理由のようだ。

早期予約割引も実施

ちなみに日本で人気があるクルーズは、北海道やサハリンあるいはウラジオストックなどを巡る10日間や11日間のコースで、価格は10日間のコースで18万4000円~83万5000円。いちばん高いものは「グランド・スイート」というスイートルームの最上カテゴリーの価格だ。3月31日まで1人あたり2500円~2万円が割引される「早期予約割引」を実施している。

何から何まで「いいことづくし」に感じられるクルーズ旅行。本当に欠点はないのだろうか。気になるのが「船酔い」だろう。

カタログに掲載されている説明によると、「大型客船は波の影響を受けにくく、スタビライザー(横揺れ防止装置)も搭載されているため、公開中に感じる揺れは大幅に解消されています」。やはり、揺れをまったく感じないということはないようなので、船酔いしやすい体質の方は酔い止めなどを用意しておくと安心だ。

「『クルーズは年配の方が多い』というのは、古い時代のイメージです。プリンセス・クルーズではすべての年代の方が楽しめるサービスを提供しています。現に、2014年のゴールデンウィークや夏休みシーズンは非常に子ども連れのお客様が多かったですね。託児サービスがあって大人だけの時間を過ごす選択肢があるのも、ご家族に人気の理由だと思います。旅行している人がずっと一緒にいる必要がなく、それぞれの時間をとったりできるのもクルーズの魅力なんです。たとえば3世代での旅行にもおすすめですよ」(同)。

また、あまりゆっくり時間のとれない働き盛り世代向けとして、4~5日の手軽なクルーズが新たにラインナップされた。家族での休暇の過ごし方として、日本でも徐々に定着していくかもしれない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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