韓国と徹底比較!日本は世界最大級の「お礼大国」 韓国には「お礼を言う人」が極端に少ない?

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なお時折、「日本のお礼文化も、行きすぎているのではないか」と思うこともある。

たとえば少しいいレストランや料亭だと、客が見えなくなるまで90度腰を曲げて、お辞儀されることも少なくない。運悪くレストランが長い通りに面していて曲がり角がないときは、それこそ客の後ろ姿が小さな黒点になるまでお礼が続く。

そのような状況が気詰まりなため、私は全速力でダッシュしたり、自動販売機の影に隠れて「お礼封じ」に出るのだが、皆様はどうされておられるだろうか。

在日コリアンも、「お礼」を非常に重視?

末筆ながら、京都生まれの在日コリアンの場合はどうだろうか? たとえば最近、私とほぼ同じような名前の弟が、株主提案でフューチャーベンチャーキャピタルの経営陣を全交代させ、自分が社長になるという異例のニュースが資本市場を駆け巡っていた。

私が親切に今後の展開に関してアドバイスのメールをこの弟に何通か送ったのに、「ありがとう」どころか全部無視され、腹を立てている私を、母のミセス・パンプキンが「いい歳して、しょうもない!」となだめるという局面が家庭であった。しかし、京都文化と韓国儒教文化の在日コリアンの私にとって、年下の弟に感謝なく無視されるのは、この上なく腹が立つことなのだ。

この無用な争いは、「ありがとう」の一言があれば避けられたはずだ。そしてこれは国家間でも同様で、「ありがとう」を一言いうかどうかが関係構築にとって重要なのである。

往々にしてどこの国も、「うちは隣の国にこれだけすばらしいことをしてあげたのに、相手は本当に恩知らずだ!」とプンスカしているケースが多い。

しかし相手国から見れば、自国こそ感謝されるべきだと思っていることが多いのだという教訓を新著『そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。』から紹介したところで、本日のコラムとさせていただきたい。

今回もお読みくださり、ありがとうございました!

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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