「幸せ」より「不幸軽減」を、ミスマッチを検証する指標作りが必要

「幸せ」より「不幸軽減」を、ミスマッチを検証する指標作りが必要

参議院事務局の委託でみずほ総合研究所が実施した「幸福度に関する意識調査」によると、雇用形態別で正社員は派遣社員に比べると幸福度が高いが、契約社員、パート・アルバイトよりは低かった。雇用が安定し経済的に豊かな正社員を皆が望んでいるという“常識”はいま一度疑ってみたほうがいいのかもしれない。ここを正確に把握しないと、雇用政策などのあり方を見誤ることにもつながりかねない。

政策当局者や経済学者の間で「幸福度」指標への関心が高まりつつある。政治の最大の目的は国民の幸福感を高めることであり、経済学は幸福を最大化させるための学問ともいわれる。これまで双方の結論が「所得が増えれば幸福度が上がる」であり、それへ向けた政策が行われてきた。その実現度を示す最重要な指標がGDP(国内総生産)だった。

過去はことごとく失敗

しかし、国民の所得上昇が幸福向上に結びつかない「幸福のパラドックス」に陥っている先進国では、GDPに代わる新たな指標として「幸福度」を導入しようという動きがある。フランスのサルコジ大統領は幸福度測定に関する委員会を発足、GDPに幸福度を加味することを提唱している。イギリスのキャメロン首相も幸福度調査を定期的に実施する方針である。日本でも2010年6月に閣議決定された新成長戦略に、幸福度指標に関する研究を進め関連統計の整備と充実を図ることを明記、同12月には内閣府が有識者からなる研究会を立ち上げ、今年6月には提言をまとめる予定だ。

実は、幸福度への試みは日本でもこれまで何度かあったが、ことごとく失敗に終わっている。社会指標(SI、1974~84年)、新国民生活指標(豊かさ指標、92~99年)などがそれだが、いずれも「指標が複雑でわかりにくい」「恣意的だ」と評判が悪かった。

「幸福度」というネーミングが悪いのだろう。今回も多くの国民は無関心か懐疑的な反応だ。「成長が望めないので、“幸福”という、いかようにも理屈がつけられるテーマを持ち出して、国民の関心をそらそうとしている」、「そもそも幸福を測ることはできないので、ごまかしだ」などと、政治家の真意を見透かしている。

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