「選抜メンバー」視点でモノを残す楽ちん片づけ術 定期的な「メンバーの入れ替え」もお忘れなく

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生活必需品を選び取った、棺に入れたいほどの物を選び取った、いよいよ実物を手放す段階になって、またハードルが立ちはだかるのが片づけです。棺に入れたいほどの物ではない、たいして見てもいない、それでも実際に手放すとなると決心が揺らぐのが、片づけの難しさ、人間心理の複雑さです。

おそらくこんな気持ちに襲われるでしょう。「手放したあとに後悔したらどうしよう……」そんな心のブレーキとなる執着とは、相当に手強い相手です。多くの宗教が目指す「悟り」とは、執着を解き放つこと。それだけ心のコントロールは難しいわけです。

手放したくないモノは写真に

でも、私のメソッドなら、しっかりと執着を断ち切り、手放す踏ん切りがつくのです。それには、あなたもよくやっていることを、するだけ。それは写真を撮っておくこと。スマホで構わないので、手放すのを迷う物があったらカシャ!カシャ!とシャッターを切ってください。

カシャ! というシャッター音がまるで福音のように、もし、見たくなったらどうしよう、大切な思い出を忘れてしまいそうで不安、そんな心理を断ち切ってくれます。

その写真は大量になるでしょう。結局あとから見返す確率は低いかもしれません。それでもいいのです。写真は不安に対する「保険」です。人生でも、もし病気になったら? 事故に遭ったら?と、安心のために保険をかけておくように、写真を残しておくのです。気軽にシャッターを押しておきましょう。

「生活必需品」と、あの世に持っていきたいたいほどの「真の宝物」を選び取っても、年月が経てばライフスタイルが変わるでしょうし、気持ちが変わることもあるでしょう。3年に1度、5年に1度などのタイミングで、見直しも大切です。

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また、真の宝物も、当然、実際の棺の中に収まる量ではありませんよね。
せっかく選び抜いたのに、またどこかにしまい込んでしまったら、意味がありません。あの世に持って行きたいほどの大切な物ならば、ときどき見返すことが、心の栄養となります。

真の宝物のうち、一部は現物をずっと手元に置いておいてもいいでしょうが、大量ならば、写真に撮ってフォトブックにまとめたり、額に入れて飾ったり、リメイクを施したりして、手元に残しやすいコンパクトな形にしたあと、現物は手放すことをお勧めします。 これなら、いつでも手軽に見返すことができます。ですから、真の宝物は、手放すための保険用の写真とは別に、ていねいに撮影しておきましょう。

人生のゴールをしっかり想像し、適材適所に手放しておくことは、この先もずっと自分らしく生きていくための第一歩。さあ、選抜メンバーたちと心地よく暮らしていきませんか?

小野 めぐみ 思い出編集室エグゼクティブプロデューサー

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おのめぐみ / Megumi Ono

1962年、東京都生まれ。大手銀行を経て、出版社に勤務。メディアファクトリー、KADOKAWAにて数々のベストセラー書籍に携わったのち、2015年からフリーで活動。同時期に父親の死をきっかけに、セカンドライフ世代の人たちが心身ともに生活を向上させ、かつ終活としても役立つ「片づけ法」を数年間にわたり模索。ついに多くの人が最も悩む「思い出の物」への対処法として、「捨てるor 捨てない」とは別の、第3の選択肢となる「思い出コンパクト術」を編み出す。このメソッドが大好評を博し、2016年、新たなライフワークとして思い出フォトブックなどの制作を手掛ける小瑠璃舎を起業。セミナーも大人気。
思い出編集室(omoide-office.com)

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