パルコ大株主に急浮上 イオンが狙う“漁夫の利”

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パルコ大株主に急浮上 イオンが狙う“漁夫の利”

流通小売業の再編につながるのか。イオンは2月22日、ファッションビルを運営するパルコの株式12・31%を取得。33・2%を保有する不動産大手、森トラストに次ぐ2位株主に浮上した。

イオンは株式取得と同時に、「パルコとの良好な協力関係の早期の構築に向けて、パルコ、その他の関係者との間で話し合いを早急に進めていく」と表明。具体案として、イオンの都市型ショッピングセンターとパルコの既存店舗の一体的な運営、中国など海外事業の早期展開と拡大を挙げた。イオンは今後の株式保有割合を「20%未満」とし、パルコを持分法適用会社にすることも検討している。

イオンの提案は、パルコとの協力関係構築を意識した温和な姿勢のようにみえる。

だが、株式保有割合のメドとする「20%未満」という数字は、意味深長だ。それを解くカギは、パルコと同社の親会社である森トラストとの、冷え切った関係にある。

パルコvs.森トラスト

事の発端は2010年8月。パルコは、M&Aや海外展開、財務などの戦略を強化するために、政府系の日本政策投資銀行と提携。その一環で、政投銀に約150億円の新株予約権付き社債を発行した。が、これは森トラストには、寝耳に水に近い話だった。森トラストの吉田武副社長は語気を荒げてこう説明する。

「昨年1月に第三者割当増資で当社の持ち株比率を49%まで引き上げることを提案した。資金が入るし、経営も安定すると思ったからだ。当初はパルコの首脳も理解を示していたが、7月になると『増資は取締役会で決まらなかった』と言ってきた。さらに翌月には政投銀と資本提携した」。しかも、政投銀との資本提携は「発表まで知らされなかった」(同)ため、森トラストは、パルコ経営陣に対する不信感を一挙に高めた。

この間隙を突いたのが、イオンだった。「20%未満」の保有を明言しているとはいえ、16・8%超に引き上げ、森トラストと手を結べば、両社で株の過半数を握ることになる。

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