政府系発行体、地方自治体、メガバンクグループの格付け見通し《ムーディーズの業界分析》

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日本のメガバンクグループの格付け見通しを「ネガティブ」に変更

金融機関グループ
VP主任格付アナリスト/VPシニア・アナリスト
山本 哲也

 2011年2月22日、ムーディーズは、日本政府の債務格付けの見通しが「安定的」から「ネガティブ」に変更されたことを受けて、日本の3メガバンク系発行体の長期格付けの格付け見通しを安定的からネガティブに変更した。

これらの発行体の短期格付けP-1、銀行財務格付け、システミックサポートが織り込まれていない優先出資証券の格付けは、いずれも影響を受けない。

格付け見通しが変更となった発行体は、以下のとおり。
・株式会社三菱東京UFJ銀行(BTMU)
・三菱UFJ信託銀行株式会社(MUTB)
・BTMUおよびMUTBによるキープウェルレターまたは保証によって信用補完が付された子会社(三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社、三菱UFJ証券ホールディングス株式会社、Mitsubishi UFJ Securities International plc、Mitsubishi UFJ Securities
(HK) Capital, Ltd.、Mitsubishi UFJ Trust International Limited)
・株式会社三井住友銀行(SMBC)
・株式会社関西アーバン銀行
・株式会社みなと銀行
・SMBCとのキープウェルレターによって信用補完が付された子会社(Sumitomo Mitsui
 Banking Corporation Europe Limited、日興コーディアル証券株式会社)
・株式会社みずほ銀行(MHBK)
・株式会社みずほコーポレート銀行(MHCB)
・みずほ信託銀行株式会社(MHTB)
・資産管理サービス信託銀行株式会社(TCSB)
・MHCBとのキープウェルレターによって信用補完が付された子会社(みずほ証券株式会
社、Mizuho International plc、Mizuho Securities USA Inc.)

格付け理由
 今回の格付け見通しの変更は、日本政府の債務格付けの見通しが安定的からネガティブに変更されたことに基づくものである。

政府債務の格付けは、邦銀のシニア無担保格付けの重要なインプットとなっている。邦銀のシニア無担保格付けは、銀行固有の信用力と、ストレス状況下での政府による銀行セクターへのシステミックサポートについてのムーディーズの想定を反映したものである。

仮に政府債務が格下げとなった場合には、メガバンクのAa水準の格付けは、その固有の信用力に重要な改善が見られないかぎり、引き下げられる可能性がある。

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