三菱UFJFGの三菱UFJニコスが1000億円増資を発表。過払い費用一括引当で、V字回復シナリオ描く

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三菱UFJFGの三菱UFJニコスが1000億円増資を発表。過払い費用一括引当で、V字回復シナリオ描く

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のクレジットカード会社、三菱UFJニコスが24日、大胆な財務リストラと新たな中期経営計画を発表した。合わせてトップも交代し、4月1日付けで佐々木宗平社長は会長へ、昨年6月に三菱東京UFJ銀行から同社副社長に就いた和田哲哉氏が新社長に就任する。

目玉は1000億円の増資で、大株主のMUFG(85%出資)と農林中央金庫(15%)が出資比率に応じて引き受ける。三菱UFJニコスは、2007年4月に旧UFJニコスと旧ディーシーカードとの合併で誕生。同年9月、中期経営計画を策定し、財務基盤強化のためにMUFGが1200億円の増資を引き受けている。いわば、大型増資はこれが2度目。構造改革や過払い費用の引当を行い、その後の収益拡大シナリオを描いた構図は今回と同じだ。しかし、ファイナンス残高の減少や過払い費用の高止まりが響き、収益は予定通りには上がっていなかった。

こうした中、08年からトップに就いた佐々木社長は選択と集中、量から質の経営へと梶を切っている。不採算の提携カードの見直しを推し進め、会員獲得も質重視の姿勢を強めた。

昨年9月には武富士の破綻で利息返還請求の増加が懸念されたものの、前年対比減のトレンドが継続。過払い費用減少の傾向が見えきたことから、今2011年3月期下期(10年10月~11年3月期)に追加で700億円の引当計上を決めた。これで利息返還請求に対する引当残高は、1400億円と従来の倍となる。今後の過払い費用を引当金の取り崩しでカバーすれば、これまでのような収益圧迫要因は取り除ける、という算段だ。

佐々木社長は会見で、「この1、2年、貸金業法対応に集中した分、今後は新商品など新たな投資に注力する」と語った。

利息返還の一括引当のほかに、システムの除却損や早期退職特損などの費用もあり、今期の三菱UFJニコスの最終赤字は1090億円(前10年3月期は最終赤字462億円)にまで膨らみ、純資産は一時的に300億円まで減少する。ここへMUFGと農林中金による1000億円の増資分が加わるため、期末の純資産額は1300億円と、同じ水準を維持する。逆にいえば、巨額の増資なくしては思い切った引当計上の実現はなかったといえる。調達金のうち半分は収益基盤の拡大に向けた先行投資に、残りを事務合理化など経営効率化に充てる。

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