頭のいい子はみな「直感力」を鍛えている 「論理的思考」は最高の武器になる?

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さて、では子どもの感性を高めるにはどうしたらいいか。私は生徒の感性を高めるために、テキストの題材を使いながら高めていきましたが、家庭で子どもの感性を育てるためにはどうすればいいでしょうか。

一般的に、感性を高めるためには「多様な体験をさせる」「美しいものに触れる機会を増やす」とよいと言われています。自分とは異なる境遇の人と話をしたり、普段、見慣れない景色を見たりすることで、多くの刺激を受けます。大自然に触れることは、その最たるものでしょう。

しかし、家庭内で実施できるより効果的な方法があります。それは、ある“マジックワード“を日常生活に取り入れることです。

現代の教育では「何?(WHAT)」「誰?(WHO)」「いつ?(WHEN)」「どこ?(WHERE)」、もしくは「どっち?(WHICH)」といった質問に答える勉強が多いのですが、教育において最も大切なことは「WHY?」と「HOW?」です。

テストには「何?」「誰?」「いつ?」「どこ?」「どっち?」が多く出題されるため、知識だけで十分と思いがちです。そう考える人は、学校の勉強なんて社会に出てからまったく役に立たないと言ったりします。

しかし、これは誤りです。役に立たない方法で知識を頭にたたき込んでしまったから、そう思ってしまうのです。

私が指導した生徒の中で非常に“頭のいい子”は、つねに「なぜか?(WHY)」「自分はどう思う? どうする?(HOW)」という2つの視点が勉強の中に入っていました。意味を理解し、結果として知識がインプットされるというプロセスこそが、本物の教育です。

「なぜ?(WHY)」は論理思考を育成し「自分はどう思う? どうする?(HOW)」は感性を育成する“マジックワード”です。私は授業において、これらを取り入れてきました。次はその一例です。

私:(国語の授業で)「このときの主人公の気持ちは?」
生徒:「悲しい気持ちだと思います」
私:「なぜ悲しい気持ちになる? 違う気持ちになる人もいるんじゃないの」
生徒:「この文章の中で、主人公が暗い面持ちで歩く場面があるのでそう思いました」
私:「じゃ、もし君がこの場面にいたらどういう反応する? 同じように悲しげな行動をとるかな?」
生徒:「たぶん、そんな気持ちにはなりませんね。この主人公と僕はちょっと性格が違うかも」

このように、「君はどう思う? 君ならどうする?(HOW)」という視点を入れるのです。

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