宮崎VS沖縄、変わる春季キャンプ勢力図 オリックス移動で異変、五輪合宿招致争いも

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そこで「北部特別振興事業」という名目で、球場建設ラッシュが続き、施設面が充実していったことで、プロ野球キャンプは沖縄に集中していったのである。

宮崎VS沖縄、双方譲らず

沖縄コンベンションビューロー関係者は「2014年の11月には日米野球を開催することもできた。沖縄では野球熱もあるし、今後もオール沖縄でスポーツ振興を働きかけていく」と侍ジャパンの開催で成功を収めたことを足掛かりにするつもりだ。

ただ、一方の宮崎県関係者も「特に、巨人、ソフトバンク、そしてオリックスと、3球団が1つの市に集まるのは宮崎だけですから」と集客力に手応えを感じている。2014年1月~3月度の経済効果は89億9400万円と推定されている。今年、新たにオリックスが宮崎キャンプに参加することで、これを大きく上回るのは必至の状況だ。

宮崎県ではオリックスを起点に、巨人、ソフトバンクの2区間で無料の周遊バスを走らせてファンにアピールを続ける。また空路だけでなく、神戸から1日1便のフェリーで移動ができる関西からの集客も見込んでいる。

宮崎県関係者は「今までにもWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の合宿をしていただいた実績もあります。スポーツランド宮崎として官民一体となってハード、ソフト両面で力を入れたい」と沖縄へのライバル心を隠さない。

2020年東京五輪で、野球・ソフトボールの競技種目への復活が実現すれば、日の丸を巡る水面下の綱引きは、さらにヒートアップすることが必定だ。

寺尾 博和 日刊スポーツ新聞社大阪本社編集委員

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てらお ひろかず / Hirokazu Terao

てらお・ひろかず 日刊スポーツ新聞社大阪本社編集委員。阪神、近鉄、南海、ダイエーなどを担当、野茂英雄のメジャー行きから現地に派遣される。2004年球界再編を取材、2008年北京五輪、09年WBCなど国際大会などで日本代表チームのキャップを務める。現在は主に東京五輪での野球ソフトボール復活を取材中。ミニストップ社とコラボでオリジナルスイーツ作り、オリジン社と弁当開発を手掛けて全国発売するなど、異色の名物スクープ国際派記者。大体大野球部出身。福井県あわら温泉生まれ。趣味はスポーツ、歌舞伎、舞台鑑賞。毎週木曜日にABC朝日放送「おはようコール」のコメンテーターとしてレギュラー出演。

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