米国、2015年の金融引き締めは見送りか 今の米国のマーケットは「鯨幕相場」

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上昇と下落を交互に繰り返す米国の株式市場。「鯨幕相場」化しているマーケットの今後は?(写真:NewYorker / Imasia)

アメリカ株は鯨幕(くじらまく)相場に陥るのか

1月最終週の週末、30日のNYダウは251.90ドル安の1万7164.95ドル、ナスダックは48.17ポイント安の4635.24ポイントと大幅下落で取引を終えた。

前日に大幅反発したばかりなのに翌日は下落。高安を交互に繰り返す、日本流で言うなら「鯨幕」(くじらまく)相場に陥りそうな気配だ。決算発表もドル高の影響がまだらに出ていて、日によって良かったり悪かったり。週末の2月6日は1月雇用統計発表だが、それまで続きそうだ。

筆者の本業は、優秀な割安株を探し出して、投資家の皆さんにご紹介することだが、講演会などでは、「つかみ」の意味で、マクロ情勢を最初に語る。個人投資家は、日々の世界経済を、メディアやシンクタンクの分析結果などを通して知るわけだが、筆者は、「下手な予想」というよりは、世界の「生の数字」、「マクロ指標」の趨勢だけを突き付けて、来場者一人一人に「感じて」もらう方法を取っている。

マクロ指標だけを眺めていると、「独り勝ち米国」の姿はない。というのも、重要指標である、ISM製造業、フィラデルフィア連銀製造業、シカゴ購買部協会、新築住宅販売、S&Pケース・シラー等の指数は、すべて趨勢が下向きになっているからだ。上向きなのは個人消費支出や、ミシガン大学消費者信頼感くらいなものだ。後はすべて横ばいで、これから筆者が感じることは「年内の米国の金融引き締めなし」である。

一方、ギリシャ問題は前回の欧州金融危機の時に「ユーロ離脱」まで織り込まれており、今回は材料を蒸し返ししているに過ぎない。また、ドイツ株式は史上最高値を更新中で、ユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数指数)にしても、安定的に強弱の分かれ目である50を維持している。

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