エジプトの正念場はこれからやってくる イアン・ブルマ 米バード大学教授/ジャーナリスト

1980年代にポーランドの共産主義政権が国民の抗議に直面していたとき、政府のスポークスマンは外国人ジャーナリストに向かってこう語った。

「ポーランドには二つの選択肢しかない。一つは共産党体制であり、もう一つはカトリック教会による支配だ。すなわち、われわれによる支配か、カトリック教会による支配かのいずれかである」

同様に、エジプトのムバラク大統領など中東の圧政的な支配者の多くも、「非宗教的な警察国家(ムバラク体制)による支配か、イスラム教徒(ムスリム同胞団)による支配か」という警告を繰り返してきた。この言葉に説得されたアメリカ政府は、ムバラク政権やアラブの“同盟国”に対して資金と武器の援助を行ってきた。

こうした援助は、民主主義の普及を主張しているネオコンのような人々にとって厄介な問題だった。彼らは、イスラム教は民主主義の脅威であると主張していたからだ。ソマリア生まれの女性活動家で、イスラム教に批判的なアヤーン・ヒルシ・アリの言葉を借りれば、「西欧社会はイスラム教と戦争中」なのである。しかしそれは、イスラム主義政党が選挙で勝利を得た場合、民主主義をあきらめなければならないということを意味するわけではない。

たとえば91年、アルジェリアの選挙でイスラム救国戦線が勝利を収めた翌年に軍事クーデターが起きた際、フランス政府はこれを支持した。また2006年にパレスチナの選挙でハマスが勝利した後に、アメリカ政府は介入を行っている。アメリカがエジプト、サウジアラビア、中央アジアの警察国家を支持してきたのは、それ以外の選択肢は事態を悪化させると考えたからだ。

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