『ジョーカー・ゲーム』、"大作抜擢"の心構え

インディーズ出身の入江監督、メジャーへ挑む

(C)2015「ジョーカー・ゲーム」製作委員会

――ビジネスパーソンでも、大きな仕事に抜擢される瞬間があります。いろいろな反応の仕方があると思いますが、今回のオファーを受けたときはどういった感じだったのでしょうか?

映画は企画が途中で頓挫することも多い。もちろん「是非やらせてください」とお返事はしたんですが、心のどこかでは、やはりこの規模の映画が本当に成立するのだろうかという疑心暗鬼がありました。

撮影の直前くらいまでは、まだなくなるかもしれないぞと思っていた感じはありました。それこそ本当に撮るんだなと実感できたのは、撮影の直前の衣装合わせで、深田恭子さんがチャイナ服などを着ていたとき。さすがにここまで来たらもう撮ることになるんだろうなとは思いました。

無理に広げないとキャパは広がらない

(写真:梅谷 秀司)

――ビジネスパーソンも「お前、ちょっとリーダーをやれ」とか「課長になれ」といったことがあると思います。そう言われたときに、「まだ自分には荷が重い」と考えてしまう人もいると思います。自分のキャパシティと与えられた役割とのギャップを入江さんならどう埋めていきますか。

やはり無理やり広げないと、キャパシティって広がっていかないと思うんですよ。『SR サイタマノラッパー』シリーズでも、少しずつ規模を大きくしていったのですが、いくら目標を高くしても、自分で広げられる規模には限界があり、どこかでストッパーがかかってしまう。

しかし、人から与えられることによって広がるものはある。今回の映画では、「第2次世界大戦前夜を題材にした作品」ということだったんですが、別の映画では江戸時代を与えられるのかもしれない。結局はやってみることがいちばん大事なんじゃないかと思う。

――自分の殻以上のことにあえて挑戦することが、自分ができることをもっと広げる近道になる、と。

これは少しニュアンスが違いますが、芸人の萩本欽一さんが昔、言っていた言葉があって。若い時には、自分がやりたい仕事なんてほとんど来ないんだと。でも向こうから来た仕事をひたすらやっていくうちにだんだんとキャパシティが広がって。いつの間にかこれが天職なんだというのができるとおっしゃっていた。来たものを打ち返しているうちに守備範囲が広がってくというか。そういうことがあるのだろうなと。

――海外ロケもある大規模な作品で、何百人単位のスタッフを束ねる作業というのはどうでしたか。

僕は親方気質ではないので、「よし、いくぞ!ついて来い!終わったら飲みに行くぞ! 」といった感じはまったくない。どちらかというと人見知りで、どちらかといえば多くのスタッフを束ねるのは苦手。最初は不安もあったんですが、結局やっていくしかないなと思いました。

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