ハウステンボス、「変なホテル」に秘めた野望 コンテナ型のロボットホテルで何を狙う?

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チェックイン業務はロボットに任せ、人件費を抑制

人件費を抑えられる理由は、接客の多くをロボットに任せるためだ。フロントに座るのはチェックイン受付ロボット。「顔や表情に重きを置いたタイプで、人の表情の表現には十分」(ロボットの製作を担うココロの山田敦也社長)だという。

ほかにも、ポーターや清掃などの業務にロボットを配置。さらに、ルームキーがなく、宿泊客は顔認証システムで通行する。

人間のスタッフは10人以下にとどめ、ロボットでは対処できないバックヤードなどの業務や、問題が起きた場合などに備える。「自動化、ロボット化で(ホテル業務の)70%は人間を使わずにできる。将来は9割以上を自動化とロボットで賄える時代を作ってみたい」(澤田社長)。

一方、光熱費が低い理由はホテルの設計にある。このホテルでは放射パネルを使ったり、建物の間に風が抜けるすき間を作ったりすることで、エアコンがなくても快適に過ごせる空間を実現した。さらに、建物はコンテナ型になっており、資材工場から容易に輸送・設置することができ、短期間でホテルを建設することができる。

宿泊料金はシングルで1泊7000円からと、4万円台が主流である園内3つの直営ホテルより大幅に低い。今後はさらに価格を下げていく計画だ。

ローコストホテルの時代が来る?

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ハウステンボス園内の「変なホテル」建設現場

ハウステンボス園内(ゼロ号店)の次となる1号店は、「(グループで展開するラグーナテンボスがある)愛知県蒲郡市になる可能性が非常に高い」(澤田社長)。そのうえで「ある程度価格が下げられるとなれば、全世界に展開する。100店、500店、1000店まで行ける」と語るなど、鼻息は荒い。

「17年前に、僕はローコストエアライン(LCC)の時代が来ると予想した。今はその全盛期。あと10年くらいしたら、ローコストホテルが全盛になる。そうしないと世界の需要が賄えず、価格が上がって旅行がしにくくなる」と、澤田社長は予想する。

将来の大規模展開に向けては、災害対策やセキュリティは十分か、満足な顧客対応ができるかなど検証の余地が残る。また、ロボット技術も進化し続ける。「変なホテル」の名称に込められたように、宿泊客の動向やニーズに応じて「変わり続ける」ことが何よりも求められる。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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