トヨタが乗り出す、「賃金制度改革」の真相 社内の少子高齢化が悩みのタネに

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トヨタ自動車はなぜ今、賃金制度の改革に着手したのか(写真は子会社の国内工場)

トヨタ自動車が工場で働く技能職の従業員を対象に、働き方や賃金制度の改革に乗り出した。1月27日に行われた経団連の労使フォーラムで、トヨタ自動車の上田達郎常務役員が明らかにした。

具体的には、年功によって決まる部分を減らし、役割や能力などに応じた部分を増やすことで若手の賃金水準を引き上げる。また、60歳以降に再雇用した場合、賃金水準が半分近く低下する現状も見直す。ほかにも、家族手当は子育て時期に厚めにする。

人材の確保が悩みの種

対象となるのはトヨタ単体従業員、約6万8000人のうち、生産現場で働く約4万人。まだ検討段階で昨年7月から委員会を立ち上げて労働組合と議論を重ねている。少子高齢化のさらなる進展に対応し、若手の働きに報いかつ、高齢者のやる気を引き出し、生産現場の競争力向上を狙う。

ここ20年、トヨタ単体の従業員数は6万~7万人台と大きく見れば横ばい。しかし1995年に8700人だった50歳以上の従業員は2014年現在で当時から1万0700人と、全体に占める割合は上がっている。さらに2025年には1万3900人まで増える見込みだ。

一方、少子化で若年人口が減少する中で、トヨタといえど現場で生産に従事する優秀な人材の確保は悩みの種。昨年は期間従業員の採用難も浮上した。そうした中で現場からはベテラン技能職が若手の面倒を見る時間が取れず、人材育成がおろそかになっているという声が上がっていた。

これを受けて会社側は、環境変化があってもしっかりと守り続けるもの、20年、30年先を見据えて変えていくべきものに分け、さまざまな施策案を打ち出している。

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