若者のカラオケに見る、恐るべき「気遣い」事情 最新の曲も、1曲歌いきるのもタブー!

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「空気を読む」世代のカラオケとは

今回、取材に協力してくれた3人

今どきの若者はさとり世代と言われ、「空気を読む」世代とも言われるが、それがカラオケにも顕著に表れてきていると感じる。

今回、私立大学に通う2年生のカラオケに密着し、その実態をレポートする。彼ら3人は全員同じ大学に通い、社会問題などについて勉強するサークルで知り合ったそうだ。

事例1:最新の曲は歌わない

カラオケ店に入ると、ドリンクを注文し、入室する学生たち。部屋に入って10分ほど大学の授業やテストの話をした後に、3人のうちのひとりが曲を入れた。その曲はAKB48の「ヘビーローテション」。いつもカラオケでいちばん最初に歌う曲は、みんなが知っている、比較的新しい、かなり明るいトーンのものが多いそうだ。

1曲目の定番曲を終えると、今の若者っぽいカラオケが始まる。

次に彼らが選んだのは2004年に発売されたFLOWの「GO!!!」という曲。彼らが10歳当時にリリースされた、一昔前の曲である。

それから彼らは自分たちが生まれる以前に発売された、THE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」(1987年)、サザンオールスターズの「真夏の果実」(1990年)や幼稚園から小学生の頃に発売されたORANGE RANGEの「花」(2004年)、L’Arc-en-Cielの「Driver’s High」(1999年)などを歌った。

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今回彼らが歌った曲の一覧。最新の曲はほとんどない。

なぜこのように最新の曲ではなく、過去の曲ばかりを歌うのだろうか。彼らに尋ねてみると、「今は音楽が多様化してしまい、最近発売された曲で、みんながお互いに知るものは少ない。だから古い曲を歌う」と答えてくれた。

またほかの学生は、「若者にとって聞く音楽と歌う音楽は別。私は韓国の音楽ばかり聞いている。けれども一緒にカラオケに行くメンバーがあまりK-POPに興味がない人が多いから、カラオケでは歌わない」と教えてくれた。

生まれる前に活躍していたアーティストの曲であっても、音楽番組の「昭和のヒット曲集」のようなコーナーを通じて接点も多く、最近、発売された曲よりも知名度が高いケースも多いため、「共通項」としてみんなで盛り上がることができるようだ。

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