閑散期を一転稼ぎ時に変えた 冬場に激売れの「チョコビール」

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近年のバレンタイン商戦で人気を集める異色商材がある。神奈川県の地ビールメーカー、サンクトガーレンが手掛けるチョコレート風味の黒ビール「インペリアルチョコレートスタウト(630円/330ミリリットル)」だ。「湘南ゴールド」などで知られる同社がバレンタイン限定で販売している。

最大の特徴は焦げる寸前の160℃と高温焙煎した麦芽を使うことで、カカオに似た甘みと苦みを再現した点。さらに、麦芽やホップなどの原料を通常の黒ビールの2.5倍以上利用し、飲み応えのある濃厚さを追求した。2006年の発売後反響は大きく、現在は生産量の限界である3万本があっという間に売り切れる。

地ビール会社がチョコビールのような「変わり種」に取り組むには訳がある。近年の地ビールブームから日本には約300ほどのメーカーがあるとされるが、需要の落ち込む「1、2月に廃業に追い込まれるケースが後を絶たない」(サンクトガーレンの中川美希氏)からだ。こうした中、同社は冬の閑散期を逆手に取り、通常より長い熟成期間と3倍のコストをかけて造るチョコ風味ビールに挑戦。結果、「冬場を稼ぎ時に変えた」(同氏)。

同社に追随して今や30社ほどがチョコ風味ビールを生産。地ビール業界の起爆剤として期待が集まる。

(張 子渓 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2011年2月19日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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