崖っぷちOLが土壇場で編み出した勉強法とは いったん知ったらやめられない、知識がつながる快感

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その点数がまあ、単位もアヤシいほど見事に悪く、いよいよ目が覚めた。しかし、どうすればよいかも分からぬ。とりあえずその日は、関西人の意地をかけ、ネタにして昇華したかった。「あいつはしょうがねえなあ〜」と笑ってもらって、あわよくば「私もできてないから大丈夫だって!」と励ましてもらいたかったのかもしれない。

自分の特技を思い返してみると、私は、絵を描くことが得意だった。図解にすれば嫌が応でも自分の頭で考えることになるぞ、と授業の流れをマンガに起こすことにした。これがクラスメートから思いのほか好評で、気をよくした私は、復習すなわちマンガ化に重点を置くことにした。

それは、授業中に疑問点をクリアしてからじゃないと帰れない、と自分を追い込むことにもつながった。授業の理解度は格段に上がり、そのおかげで言葉だけがツルツル滑ることは激減した。

しかし、転職後、仕事の責任が増し、さらに授業が高度になるにつれ、マンガにすることがつらくなってきた。もうやめようかと思っていたちょうどその頃、経営戦略の授業が始まった。

ほとんどの授業は最終日に「振り返りアサインメント」を提出することになっている。それまでは30分くらいで適当なことを書いていたのだが、この授業を担当した講師から、こんなことを言われた。

「振り返りアサインメントの代わりに、戦略を考える際の、どんなことがあってもぶれない自分なりの軸を作って提出してください。この科目だけに限らず幅広い視点を網羅してください。これをバージョン1と呼びます。1ということは、2、3と続いていくことを前提としています」

そして、過去の受講生が作ったものを見せてもらった。どれも皆、自分なりのフレームワークが整理されてまとめられており、ケーススタディでも実務でも、少なくともこれらのポイントを押さえよう、というのがきれいに整理されていた。あんなに理路整然と、私にもできるだろうか?

スキルは、追いつめられて開花する

すでに「絵を描く変な学生がいる」ということで認識はされていたので、先生からは「かんべさんは絵でもいいよ~」と言ってもらった。面白そうだが、なかなかのチャレンジである。でも、普段いい格好できないからこそ、今回くらい「あいつ、やりおった!」と言わせたい。

学校では、賢い人のポジションにはつけなくても、「右脳系」の座だけは誰にも譲らんぞ! 覚悟が決まればエンジン全開。差別化戦略の始動である。それまでに習った知識を総動員して、バージョン1を作成した。案を形にするのに1週間以上、下書きから本書きするのに3日かかった(丁寧に色までつけた)。

次ページアウトプットは、恥を忍んで人に見せるべし!
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