フランス式「言論の自由」は、普遍的ではない

パリ政治学院教授に聞く「文化と歴史」

共和国広場に残された花、風刺画、ろうそく、寄せ書き

イスラム教預言者ムハンマドの風刺画を繰り返し掲載してきた、フランスの風刺週刊紙「シャルリ・エブド」の風刺画家、編集者、記者など12人が、イスラム教過激主義者でアルジェリア系移民2世の男性たちに銃殺される事件が、1月7日、発生した。これを受けて、言論や表現の自由について大きな議論が発生した。

暴力による言論の封殺は論外だが、表現行為の自由はどこまで保障されるべきなのだろうか?今回は元ジャーナリストで、今はフランス屈指のエリート校となるパリ政治学院で情報戦争と政治学を教えるファブリス・イペルボワン教授 にフランスの言論の自由の定義や事件の影響を聞いた。同氏は数人のジャーナリスト仲間とともに、風刺週刊紙「カナール・アンシェネ」で世界各国政府による監視体制を暴露報道したことでも知られている。

フランス式とアメリカ式の言論の自由は違う

ファブリス・イペルボワン氏(Chris Heuer氏撮影、flckr、ウィキペディア・コモンズ)

──テロ事件発生後、言論・表現の自由を支持する「私はシャルリ」というフレーズが世界中を駆け巡った。同時に、実際にシャルリ・エブドの風刺画を見て、暴力行為はもちろん支持しないものの、「これほどの挑発をすることはなかったのではないか」「下品すぎる」という声が出た。

イスラム教徒にとっては預言者ムハマンドの姿を描くこと自体が冒とくと聞く。フランスの言論・表現の自由の捉え方はどうなっているのか。

私たちがフランスで呼ぶところの「言論の自由」だが、私たちなりの定義がある。ほかの多くの国ではアメリカ式の言論の自由の意味で解釈されているので、他国とは大きく違う。

フランスの言論・表現の自由の考えは、絶対王政を倒し、近代的ブルジョア社会を作ったフランス革命と切り離すことはできない。絶対王政の時代には王政とカトリック教会は一体化していた。革命は神様が選んだ国王への反乱であり、聖職者に対しての反乱でもあった。革命によって聖職者たちの財産は没収され、共和国の国庫に入った。

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