妻が夫に「三行半」を突き付ける最大の理由 高橋・三船夫妻の騒動は他山の石か

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各種報道によると今回の高橋・三船夫妻の間のトラブルは、いわゆる精神的な嫌がらせや暴力である「モラルハラスメント」が原因と指摘されている。高橋さんの束縛が強く、家計も高橋さんが握り、三船さんは夫の収入も知らなかったようだ。三船さんには、時間と財布の主導権を高橋さんに握られていたことへの不満が大きいという。

必要以上の束縛や家計を任せないことは、妻の人格否定につながる。筆者の経験からも、夫が財布を握っていると夫婦関係が上手くいかない原因となるケースが多いと感じる。妻が離婚を思い留まる原因は、子供のためということもあるが、金銭面が不安で離婚できないというアンケート結果もある。

熟年離婚は深刻

深刻なのは熟年離婚だ。35年以上連れ添った夫婦による「熟年離婚」は2012年で約6000組。夫が定年退職を迎えて、これから妻とのんびり旅行でもしながら老後を過ごしたいと考えているのとは裏腹に、妻から突然「わがままなあなたの面倒を見ながら老後を一緒に過ごしたくない。」と言われ、離婚を迫られるケースが多いようだ。

日本では夫が家庭を顧みず、育児や家事は妻がするべきものと長い間考えられてきたが、近年は女性が自立できる社会環境が整備され、世の中の価値観も多様化。子供の養育が一段落し、夫の定年退職を機に、妻の長年のうっぷんが吐き出される。

熟年離婚は、婚姻期間が長いため、様々な問題が生じるので対策には万全を期す必要がある。感情的には積年の恨みつらみの噴出、経済的には老後の生活も絡むため問題が複雑になる。

特に金銭面では注意が必要だ。慰謝料・財産分与では婚姻生活が長期であるため、不動産、預貯金、年金分割、借金の清算が要素として出てくる。子供がいれば、相続問題も考えなくてはならない。そこに感情も絡み、「慰謝料として1,000万円くらい要求したい!」というクライアントも見てきた。

その気持ちは分からなくないが、現実問題として、慰謝料・財産分与の合算で、普通のサラリーマンで100万~400万円程度が相場だ。熟年離婚は、感情・金銭の問題の溝を埋めることは大変難しい。

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