アイデアが「ウケる人」「スベる人」の決定的な差 「説得型発想」から「納得型発想」への脱却が重要

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あらためて、考えてみてください。

「アイデア」と「思いつき」、その分岐点はどこでしょうか?

両方とも、頭の中で「閃く」という意味では同じものかもしれません。しかし、根本的な違いがあります。  

それが「相手」の存在です。

「アイデア」は外に開かれたものです。「思いつき」は内に閉じられたものです。

「アイデア」は人を幸せにします。「思いつき」は自分しか幸せになれません。

「アイデア」は必ず相手が存在します。「思いつき」は自分しか存在しません。

つまり、「相手があってこそのアイデア」なのです。

見方を変えれば、「アイデアは相手との共同作業」と言っていいでしょう。あなた1人で成立するものではないのです。

いや、そんなことは十分にわかっているとあなたは反論するかもしれません。しかし、「なぜ自分のアイデアが採用されないんだ」と腹立たしく思っているとき、あなたの中で相手は消えているのです。相手との共同作業ではなくなっているのです。

「相手不在」のアイデアは場を凍りつかせる

私にも経験があります。

施設の展示映像に関する企画コンペでした。施設にはいろんな人が見学に訪れると思った私は、「いかにしてわかりやすく施設を伝えるか」を主軸にアイデアを考え始めました。

施設の目玉は巨大なタンクです。そのスケール感を伝えるには何かと比較するのがいちばんです。そのタンクの容量を、私たちがテレビで見慣れているオリンピックプールと比較するアイデアを思いつき、「オリンピックプールの10倍もある」と、プールをCGで10個並べて視覚的に伝える方法を企画しました。

こうして、さまざまなわかりやすい表現を発想し、誰が見ても驚嘆する施設映像を企画書に落とし込みました。

「いいぞ、これを上回る企画はないだろう。勝った」と私は確信しました。

意気揚々とプレゼン当日を迎え、20人を前に企画を披露し始めました。ところが、プレゼンが進行するにつれ、参加者が集中していないことに気がつきました。肘をついたり、伸びをする者まで現れました。「おかしい、こんなはずでは」と思いました。

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