日本国債格下げへの懸念--政府が発表する予定の計画と実行可能性について注視/ムーディーズの日本国債格付け責任者に聞く

日本国債格下げへの懸念--政府が発表する予定の計画と実行可能性について注視/ムーディーズの日本国債格付け責任者に聞く

2月9日、ムーディーズの日本国債の格付けの担当者であるトーマス・J・バーン氏が、日本のソブリン格付けの当面の見通しについて会見を開いた。その後、インタビューも行った。バーン氏は同社のシニア・ヴァイス・プレジデントで、アジア・中近東地域におけるソブリン・リスク・グループの責任者。

現在、日本の長期国債格付けについて、ムーディーズはAa2で見通しを安定的としている。また、ムーディーズは、Aaaで見通しを安定的としている米国のソブリン格付けについては、今後2年以内に見通しがネガティブ(引き下げ方向)に変更される可能性があるとのリポートを発表している。

■会見コメント

日本国債については格付けをAa2で安定的としている。日本はこの1年、他の先進国と比べてみても高い経済成長率を示してきた。東アジア地域の経済の活力が高まっていることもあって、域内貿易で経済成長率を高めることができた。国際的な金融危機、通貨危機を経て、日本国債は安全な金融資産と見なされ、また、国内での消化の構造が盤石であるということもあって、日本国債の利払い費は著しく下がった。日本にはGDPの3倍の貯蓄があり、政府債務はGDPの2倍である。こうした構造は格付けを支える要因である。

しかし、格下げへの可能性が高まってくる懸念材料がある。第一に低成長のトレンドを長年打破できずにいることだ。第二に、低成長と関連して、デフレの長期化がある。第三に、2010年は経済成長したにもかかわらず政府の歳入は増えていないということ。税収は金融危機前の50兆円から40兆円に落ちている。おそらく、11年も同様の状況が続くものと思われる。景気が回復しているとはいえ、予断を許さない。

したがって、政府が効果的な財政再建への計画を立て、市場の信認を得られるかどうかについて注視している。4月、6月に発表が予定されている社会保障制度改革案、税制の改革案の内容に注目していく。何らかの財政、税制上の調整が必要だ。名目3%の成長シナリオを中長期的に果たせたとしても、それだけでは2020年度にプライマリーバランスの黒字化を達成することはできないと考えている。
 
 財政・税の調整の計画が実現できるか、それが十分な内容かも精査していく。立法化が国会でできないという場合には、即座に格下げをするというわけではないが、格下げを示唆するという可能性は高まる。

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