中学受験者数トップ!広尾学園人気の理由 超人気校のIT教育はどうなっている?

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親たちは、どうすべきか

――これからのIT教育はどうなっていくと予想しますか。

5年後、10年後、タブレットが手元にあるのが当たり前の世界になると思います。それを前提とした授業ができることが、社会的に評価されていけばいいなと思っています。

すでに、子どもたちのほうが教員よりも進んでいるかもしれません。電子辞書がいい例です。生徒は家では電子辞書を使い、学校では分厚い紙の辞書を使っていました。あるとき、生徒側から電子辞書を学校でも使いたいという意見が出てきて、学校側がそれを受け入れました。教育現場が現況に追いついていない。タブレットもそのような感じで導入されていくのではないでしょうか。

理想のIT教育は、将来、必要だからというよりも、目的がきちんとあってツールとしてタブレットを使っているということです。使った結果として、将来にもつながる。この順番が重要だと思っています。

――IT教育について、これからの親の心構えはどうあればいいのでしょうか。

やみくもにタブレットなどの使用を禁止するのではなく、子ども自身に何のために使うかを説明させ、そのうえで自由に使わせるべきだと考えています。親自身がわからないから、全部ダメというのはよくないですね。

親は子どもがやることに興味を持って、子どもにそれを使う意味を説明させる。それが納得できるようであれば、利用を許可する。

一方で、タブレットなどを親がすべて用意し、子どもに与えてしまう場合も散見されるのですが、それもよくないですね。親任せになってしまうからです。

中には、子どもが紙を使っていないので心配と感じている保護者もいます。しかし、まずは自分自身が使ってみること、これもデジタルネイティブの子どもを持つ親にとって重要なことだと思います。生徒たちを見ていると、デジタル機器を使いこなす子どもこそ、紙の記録の大切さを知っているものです。大人でもそうですよね。目的に応じて適切なツールを使う。今も昔も変わらないことです。

(撮影:今 祥雄)
 

小宮山 利恵子 リクルート次世代教育研究院 院長

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こみやま りえこ / Rieko Komiyama

1977年東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。株式会社ベネッセコーポレーション等を経て、「受験サプリ」「勉強サプリ」等を展開する株式会社リクルートマーケティングパートナーズに入社。

財団法人International Women's Club JapanにてSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育推進委員長を務める。全国の学校等で情報モラル啓発講演を実施した経験がある他、IT教育を中心に国内外問わず幅広く取材活動を行っている。Wall Street Journal主催のIT教育に関するシンポジウム等にも登壇。超党派国会議員連盟「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。東洋経済オンラインにてIT教育の連載を持つ(2014年11月~)

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