子乗せ自転車「3人乗り」の悲惨な事故を防ぐ方法 総重量は100㎏超、7割がヒヤリハットを経験

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子育て世帯の“足”として高い需要がある子乗せ自転車だが、前後に子どもを乗せた3人乗りはとくに総重量が重くなってバランスを崩しやすく、危険と隣り合わせだ(記者撮影)

幼児同乗用の電動アシスト自転車ーーいわゆる“子乗せ自転車”による事故が後を絶たない。

4月中旬、2人の幼児を乗せた自転車が痛ましい事故に遭った。現場となったのは大阪府東大阪市内の狭い国道で、母親と3歳、5歳の幼児2人が乗った電動アシスト自転車が走行中に転倒。自転車の前方座席に座っていた3歳の男の子が道路に投げ出され、後ろから来たトラックにはねられ死亡した。

2011〜2016年の6年間に東京都内(稲城市と島しょ地区を除く)で起きた自転車単独の事故で救急搬送された14歳以下の子ども2607人のうち、子乗せ自転車に乗っていたのは1349人と過半数を占める(東京消防庁の救急搬送データ)。毎年、200人前後が搬送されている計算だ。

そのうち、入院が必要な「中等症」のケガを負ったのは152人、生命の危険が高い重症は4人、生命の危険が切迫している「重篤」も1名いた。走行中の事故は12%だったのに対し、停車中が80%と高いのも特徴だ。

今回のケースのような車両との接触事故はさらに多い。交通事故総合分析センター(ITARDA)の調査によると、子乗せ自転車と車両の接触による6歳未満の自転車同乗者の交通事故は2010~2020年の直近10年間で9000件近く起きている。

幼児2人乗りの7割が危険な思い

街中を自動車で移動しにくい都市部では特に、保育園の送迎や買い物などで利便性が高く、子育て世帯の“足”として普及する子乗せ自転車だが、危険と隣り合わせであることは事実だ。安全に乗る方法はあるのだろうか。

子乗せ自転車の危険についてよく指摘されるのが、今回の事故のケースのように運転者が幼児2人を乗せる3人乗りだ。自転車の3人乗りは原則として違法だが、条件を満たした自転車であれば、前後の幼児用座席に2人を座らせるか、1人を幼児用座席、1人を背負う(おんぶ)する形での3人乗りは合法だ。

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