日中間の問題の7割は誤解、理解不足に基づく--『これから、中国とどう付き合うか』を書いた宮本雄二氏(前駐中国大使)に聞く

日中間の問題の7割は誤解、理解不足に基づく--『これから、中国とどう付き合うか』を書いた宮本雄二氏(前駐中国大使)に聞く

大使として2006年から10年初めまで中国に駐在。「世界大国」への歩みをつぶさに見た実感的中国論。

──日本は中国となかなか友好的な関係を結べません。

中国も日本も相手を理解できていない。皮膚感覚でいうと、日中間の問題といわれていることの7割は、誤解もしくは理解不足に基づいている。日本人で中国のことをよく知っている人だけでなく、中国人で日本のことをよく知っている人でさえ、日中間の問題は7割までが実際と違う相手を頭の中で想像して、それに腹を立てていると感じる。

1994年から97年にアメリカのアトランタ総領事を務めた。そのときは日米貿易摩擦の最終局面だった。その際、アメリカが腹を立てている日本および日本人は、私が知っている日本および日本人とはあまりに違った。アメリカ人は頭の中に勝手な日本および日本人像を作り出して、それに腹を立てている。それと同じことが日中間で起こっている。

──尖閣事件は日中関係の脆弱さをあらわにしました。

中国共産党の体質でもあるが、内部議論のプロセスを相手に言わないという規則になっている。日本だったら、「実はね」と漏れる。ところが、そういう話をほとんど聞けない。それで決定した公式論だけを言われても、本当の対話は実現しない。

今回の尖閣の問題でも、中国側は、日本側が尖閣諸島の実効支配を強化するために仕組んだと思っている。彼らはすぐそういう考え方にいってしまう。

中国は、アヘン戦争以来、宿痾(しゅくあ)ともいうべき大きな痛みを抱えたままだ。そのため、弱ければバカにされ、強ければ尊敬されるという思いが、ことさら強い。歴史の経験の裏返しだ。そして、外の世界は、とりわけアメリカを中心とする資本主義社会は、社会主義中国を機会があれば倒そうとしていると考える。この認識も不動だ。それだけ強い猜疑心、外の世界に対する不信感がある。

──日本は、領土問題はないという理解です。

日本の領土だから日本の国内法に従うのは当たり前となるが、中国からすると中国の領土だから、日本と同じ理屈で中国の法律に従うとなる。どちらが正しいかは国際的には決着がついていない。互いに国内法だけで考えると、衝突するしかなくなる。外交的に衝突するかどうか。いざとなったら軍事的な衝突にもなりかねない。

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