波乱相場で投資に失敗しない「10のキーワード」 5月の株式市場にどう立ち向かえばいいのか

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さて、長々とアメリカ株の2週間の動きを説明したのは、上げ下げの激しい相場を動かした理由をまとめて頭に入れるためだ。

ここまでの「キーワード」を列挙すると、①景気の強さ、②決算、③金利、④金融引き締め加速、⑤買い戻し、⑥中国での新型コロナウイルスの感染拡大、⑦ウクライナ戦争の長期化、⑧ロスカット、⑨マイナス成長は無視、⑩ハイテク売りとなる。

過度に悲観せずに相場に参加する姿勢が重要

この10のキーワードに注意して相場に参加すると、「失敗しない投資」が見えてくる。

つまり、結局はアメリカの①景気の強さと③④引き締めのバランスと②決算に注意しながら、過度な悲観に陥らない。そして⑨マイナス成長は無視し、横目で⑦ウクライナ情勢や⑥ウィズコロナ経済を見る、いうことになる。

ちなみに、⑤買い戻し、⑧ロスカット、⑩ハイテク売りの動きには、相場テクニックとして逆張りが王道ではないか。

結局、4月後半の日経平均株価は、ほぼNY株の1日遅れの波乱相場だったが、あらためて見てみると、4月18日の2万6799円が28日に2万6847円になったにすぎない。

5月相場のスタートである2日は売り先行で始まるかもしれないが、前述のごとく10のキーワードで対処すれば、「失敗しない投資」ができるはずだ。多くの投資家はインフレ経済の株式相場を経験していないが、ここでもときどき言っているように、インフレは株にフレンドリーなのだ。くれぐれも狼狽売りは避けたい。

さて、今週の東京市場は2日と6日のみだが、アメリカの主要指標に注目だ。まず、2日の4月ISM製造業景況指数。3月は57.1と、2月の58.6から低下。サプライチェーンの逼迫による仕入れ価格上昇が響いたが、製造業には回復が見られる。今回予想の中心は58.0だ。

次に4日のFOMCの結果発表・パウエル議長会見。これは今週の最大の注目イベントだ。0.5%の利上げは織り込み済みで、6月、7月とさらに利上げを進める(場合によっては0.75%)といわれるが、あらかじめ市場にかなり織り込まれているとみる。

同日の4月ISM非製造業景況指数も重要だ。3月は58.3と、前月比1.8ポイントの上昇で、4カ月ぶりの上昇。今回も連続上昇が予想される。さらに、4月ADP雇用リポート。3月は45.5万人増、今回予想は37万人~39万人増だ。

そして、6日は4月雇用統計。3月の非農業部門雇用者数は前月比43万1000人増と、予想の49万人増は下回ったが、失業率は3.6%と予想の3.7%を下回り、前月から0.2ポイントも低下した。今回の非農業部門雇用者数の予想は40万人前後となっているが、失業率がどうなるか注目だ。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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