海運業界に供給過剰の荒波が迫る、好決算でも笑えない

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ケープサイズ1隻当たりの鉄鉱石運搬量は、フル稼働して年100万トン。200隻の船体増を吸収するには年2億トンもの需要増が必要だ。だが、最大需要家である中国での鉄鉱石輸入量は昨年、むしろ減少に転じた。鉄鉱石価格の急騰によるもので、中国の輸入量が今後急増する保証はどこにもない。

その一方、中国の資源需要膨張を見込んでいた海運各社は、リーマンショック以前にケープサイズを大量発注。建造費高騰下で造られた高コスト船の竣工が、今年から荒波のように押し寄せる。

これに合わせた需要増がなければ、資金回収は当然厳しくなる。加えて市況運賃が今後も伸び悩めば、来期業績を直撃するのは必至だ。天災去って船体供給過剰に直面する海運業界。視界には暗雲が垂れ込み始めている。

(山田雄一郎 =週刊東洋経済2011年2月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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