ベトナム初「ハノイ都市鉄道」で渋滞解消なるか 待望の開業、バイクに慣れた市民は利用する?

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ハノイメトロは3号線の工事も進んでおり、ベトナム国鉄のハノイ駅から西方向にニョンまで延びる全長12.5kmの先行開業を目指している。こちらも当初は2018年の開業目標を掲げていたが遅れており、現在のところ2023年中には開業にこぎつけられそうだ。

3号線は、2A号線とは異なりフランスの技術によって建設が進んでおり、仏鉄道車両大手アルストムが製造する車両メトロポリス(Metropolis)が導入される。フランス政府をはじめアジア開発銀行(ADB)や欧州投資銀行(EIB)が出資者となっており、中国色はまったく見られない。

道路渋滞の緩和に寄与するか

ハノイメトロはウェブサイトに、都市鉄道網を敷設する理由として「近代的な首都を形成するには、地下鉄のような都市鉄道を核としたマルチモーダルな交通網が必要。ベトナムの大都市における共通の課題である、交通渋滞、事故、環境汚染といった都市交通の問題を解決するためには、公共交通機関の整備が最も効果的なソリューションのひとつ」と掲げている。

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ただ、公共交通の整備が遅れたベトナムの各都市では、市民はバイクによる「ドアtoドア」での移動に慣れてしまっている。複数の交通機関を乗り継いだり、自宅から駅まで歩いたりといった習慣が浸透するかどうかがこれからの課題だろう。現地ではメトロ各駅と市内バス網の接続の充実が課題となっており、公共交通機関へのシフトがどのように進むかが課題だ。ベトナムを含む東南アジアでは、マレーシア生まれの配車サービス「グラブ(Grab)」が盛んに使われている。これが最終目的地ではなく駅への移動に使われるようになればいいのだが。

まだ始まったばかりのベトナムでの都市鉄道の運行。市民にどのような形で受け入れられていくか、しばらく見守る必要がありそうだ。

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さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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