賃上げは定期昇給程度、夏季賞与増加でもベースアップ見送りか

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賃上げは定期昇給程度、夏季賞与増加でもベースアップ見送りか

労務行政研究所が上場企業の労組委員長や人事・労務担当部長、学識経験者対象に2011年度の「賃上げに関するアンケート調査」をまとめてこのほど発表した。

これによると、11年賃上げの見通しは、全回答者451人の平均で「5316円・1.72%」(定期昇給分を含む)。厚生労働省が調査した、前期2010年度の主要企業賃上げ実績(5516円・1.82%)をやや下回る水準である。労使別にみた平均値は,労働側5345円、経営側5356円となった。

定期昇給部分を持たない企業もあるため一様にはいえないが,今回の集計結果では,「賃上げはおおむね定昇程度といえよう」(同研究所)

ベースアップに関しては,経営側では「実施しない予定」が71.3%を占めた。労働側についても「実施すべきではない(実施は難しい)」が57.7%と6割近くに上っている。
経営・雇用環境の現況から,労使ともベアの実施は厳しいという見通しを抱いている。

労働側では、より環境の厳しかった昨10年に比べると「実施すべき」が増えているが、経営側の「実施する予定」はほぼ横ばいである。

夏季賞与は増加の見通し

夏季賞与は、労働側・経営側とも、10年夏季と比べて「増加する」と「同程度」が拮抗する結果となり,「減少する」は1割台となった。「増加する」は労働側42.3%,経営側38.5%で,労使とも4割前後に上る。

「経営側においては、企業業績による成果は固定費のアップにつながる賃金ではなく、変動費である賞与に反映すべきと考える向きも多い」(同研究所)。

10年調査時における経営側の見通しは,前年夏季に比べて「同程度」と「減少する」が拮抗していた。しかし、大手を中心に企業業績が回復傾向にあることから,11年夏季賞与は「増加する」の割合が顕著に増えている。

(東洋経済HRオンライン編集長:田宮寛之)

【調査概要】
時期:2010年12月7日~2011年1月12日
対象:被調査者4828人(内訳は下記のとおり)
◇労働側 東証第1部および2部上場企業の労組委員長等1959人(労組がない企業は除く)
◇経営側 東証第1部および2部上場企業の人事・労務担当部長2025人
◇学識経験者 主要報道機関の論説委員・解説委員,大学教授,労働関係専門家など844人
回答者数および集計対象:1月12日までの回答者は451人。(内訳は,労働側201人,経営側143人,学識経験者107人)

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