51歳の常務を社長に抜擢--資生堂社長に「参謀役」末川久幸氏が就任

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経営企画部では、05~07年度の前・中期経営計画の企画、立案を担当し、05年に社長に就任した前田氏の片腕として改革を進めてきた。ブランド数を絞り込んで効率化を図る一方で、ヘアケア「ツバキ」や化粧品「マキアージュ」など主要ブランドに広告宣伝に集中投資をする「メガブランド戦略」でヒットを飛ばした。

「前田路線」が踏襲される

08年には執行役員経営企画部長に就任。前田氏のより近くで「参謀役」として手腕を発揮した。10年1月の米化粧品メーカー、ベア・エッセンシャルのM&Aでは、のれん代の算定など陣頭指揮に当たり、総額1800億円と資生堂過去最大の買収案件を成功させた。

末川氏は前田氏を支えながら、前田氏をはじめ周囲の信頼を獲得してきた人物。その末川氏が選定されたことからも、今後も「前田路線」が踏襲されることが伺える。

末川氏の社長就任と同時に、4月から新・3カ年計画が開始する。資生堂の最大の課題は国内化粧品事業だ。リーマン・ショック以降、国内の化粧品市場は低価格化が加速。資生堂のなかでも最も売上比率が大きい中価格帯(2000~5000円)の化粧品が低迷している。アジアと共通の化粧品を大量生産することで低価格化粧品を販売するなど施策は講じているが、いまだ結果は出ておらず、今期で国内売上高は5期連続減収になる見込みだ。

末川氏は資生堂初の通販化粧品ブランド「草花木果(そうかもっか)」の立ち上げを行うなどの経験をもつ。苦境から脱却する抜本策に踏み切れるのか、その采配に注目が集まる。

海外経験がないという懸念

一方、海外売上事業は資生堂の業績を押し上げ、いまや4割を占める。すでに83か国に進出しており、海外での成長が資生堂の今後を占うカギとなることは間違いない。

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