【産業天気図・パルプ/紙】2005年度は数量安定でも懸念材料が重なる公算

2005年度にかけてのパルプ/紙業界は、総じて「曇り」の空模様となろう。
 製紙産業は2004年度前半、強含みの数量で推移した。日本製紙連合会の「需給統計」によると、1~10月累計の紙・板紙計の国内出荷は2460万トンで、前年同期比1.2%増だった(10月分は速報ベース)。
 ただ、増減率の月次トレンドを見ると、紙・板紙とも8月を最後に減速している。紙は同月、前年同期比6.7%増を記録、板紙も1.1%増だった(紙・板紙計では4.5%増)。しかし、紙は9月4.2%増、10月0.3%増と次第に減速。板紙に至っては9月4.9%減、10月3.7%減と、前年割れ状態に陥った。上記の通り、紙・板紙計の数字は前半の「貯金」のおかげもあって1~10月累計でプラスを保っているが、月次では10月、5カ月ぶりに1.4%減とマイナスに落ち込んでしまった。
 紙については今年8月前後、洋紙値上げ前の駆け込み需要があったこと、板紙についても昨年10月の値上げ前の駆け込み需要で同9月に出荷が高水準となり、今年の9月は反動減となったという特殊事情があるにはある。ただ、減速の背景は総じて「景気回復の鈍化、台風・地震等の影響」(連合会)といえよう。
 このうち、自然災害の影響は一時的・限定的なものにとどまるとしても、景気の足踏み感が強まっていること、上期の猛暑や五輪のような特需が今後は期待できないこと等を勘案すると、国内出荷は2005年度上期にかけ、やや軟化含みの足取りとなりそうだ。
 また、今後はコスト面で厳しい展開が予想されることも懸念材料。中国需要の増大等でパルプや重油など原燃料が高騰、その本格的な影響は今下期以降に出る見通し。原燃料高は程度の差はあれ、2005年度も続く模様で、原燃料高の通期化が重しとなる。
 もう一つ懸念されているのが、2005年度に予定されているアジアの製紙勢の工場新設・稼働開始だ。「アジア市場で余剰が出れば、国内に流入する可能性がある」(業界関係者)とみられ、割安な輸入紙が再び市況を押し下げる恐れが指摘されている。
 国内2強の日本製紙グループ本社と王子製紙の動向を見ると、2004年度は、ともに売上高横ばいないしは微増収ながら、リストラ効果の継続で連続増益基調。ただ、下期の原燃料高を見込み、9月中間決算で両社は増益幅を減額した。
 2005年度は両社にとり、売り上げ面では前期後半の洋紙値上げ効果と、輸入紙による市況かく乱の相克が大きなテーマの一つとなろう。円高進行は原燃料調達にプラス。ただ、それよりも円高が景気全般を冷やすマイナスの影響のほうが大か。洋紙値上げの効果や下期以降の景気復調を前提とすれば、売上高は前年並みないし微増と見られる。すでに述べた原燃料の通期高止まりが圧迫要因ではあるが、両社ともリストラ効果で増益は続こう。ただ、これは2強特有の要因であり、リストラ効果を絞り出すのが難しい中堅以下の製紙会社にとって環境はより厳しくなる。天気予報に例えれば「所によって雨」の可能性もあろう。
【内田史信記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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