菅首相の雇用促進政策、「市場経済」に転換? いや、やはり「社会主義」?

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「法人税の10%が上限という付帯条件がなければ、500人の雇用増で1億円の法人税控除が受けられる。そうなれば、大変うれしい」(山口洋社長)。

ただし、法人税の10%までしか税控除がないとすれば、せっかく500人の雇用をして日本に貢献しても、恩典はいかなるものか。

同社のケースで、法人税を3億円(連結ベース)払うとすると、その10%が上限で税控除されるとすれば3000万円。150人分の雇用が雇用促進税制の恩典を受ける。保育、介護などの成長産業は雇用を増加させており、思い切った雇用促進税制を実施すれば、成長テコ入れ策になる。

もともと成長産業は、成長に伴い雇用を増やす必要性がある。雇用増に大幅な減税の恩典がプラスされれば、成長産業にとっては雇用を前倒しで促進させる政策になる。

つまり、具体的に検証すると、雇用促進政策は“かなりのもの”になる。ただし、実施は2011年度から。効果の発現はあくまでこれからでしかないのだが、それでも恩典あり、の評価になる。

市場経済に沿わないと雇用は増えない

菅首相は市場経済を嫌い、「法人税を下げるから雇用を増やしてくれ」などという発言をたびたび繰り返してきている。

これでは、まるで「社会主義ではないか」という見方が定着してきたようだ。実際、日本経団連・米倉弘昌会長などからは「そのような社会主義的なことはできない」とぴしゃりと断られたりしている。

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