年金は税か社会保険か 民主・自民の意外な相似

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 この問いに民主党は第7回合同会議でようやく重い口を開く。「私たちは『払っていない人にも最低保障年金を』という考え方はとっていない。所得がなければ“ゼロ円”という保険料を納付するということだ。(中略)自らの所得を正確に申告して、その所得に応じた保険料を納付することを大前提とする」(小宮山洋子議員=現厚生労働副大臣)。

実態は保険方式に限りなく近い民主案

つまりこれは形の上では、保険料拠出を必要とせずに国内在住年数などの要件で“一律給付”するという、税方式ではない。保険料納付の“対価として”最低保障年金があるという、社会保険方式なのだ。こうした最低保障年金は、現行の基礎年金とほぼ同じ構造といえるだろう。異なるのは財源が全額税で、所得制限がつく点である(下表参照)。

それなら、現行の基礎年金も国庫負担率をさらに引き上げ、給付に所得制限を設ければ、民主党案に限りなく近づく。自公両党には、低所得者の国民年金保険料を軽減・免除して満額の基礎年金を給付する、無年金・低年金対策案もある。「民主党案はゼロ円という形で保険料を払う義務を果たすことだから、大体の形はわれわれが考えている姿と変わらない」。両院合同会議で自民党の伊吹文明議員は喝破した。自民党は目下、政治的な思惑から与野党協議には慎重な姿勢だが、実は制度面で両者の調整は決して難しくない。

 

 

 

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