常時スマホ時代に「頭に記憶すべきもの」は何か スマホだけでは成り立たない「記憶術」とは?
では、「頭」に記憶する「メリット」「デメリット」についてはどうだろうか。
頭では、情報をつなげて「概念」をつくり出せる
「頭」の記憶のデメリットは「記憶容量がとても小さい」ことだ。
見たときは鮮明に感じても、人間は日々いろいろなことを見たり考えたりする。時間の経過とともに、どんどん新しい記憶が増えていくと、人間の脳の記憶容量は小さいので、すぐにいろいろなことを「忘れていってしまう」のだ。
また、「ど忘れ」「うっすら覚えているけど、どうも思い出せない……」ということもよくある。ときには記憶が同じ状態に残らず、どんどんあやふやなものに変わっていく。さらに年齢を重ねれば、記憶はますます「正確に取り出しにくく」なっていく。
このように、人間の「頭」では、いつまでも変化することなく正しい記憶で残すことには限界がある。
一方、「頭」の記憶のメリットは「概念」をつくることができることだ。
たとえば、ある人が20歳のころに付き合っていた「恋人へのラブレター」があり、30歳のころに付き合っていた「別の恋人との写真」があり、その後に「生まれてきた子どもの写真」があったとしよう。
「コンピューター」に記憶されている3つの情報には、それだけではただの断片の寄せ集めにすぎない。でも、本人がその「2枚の写真」や「ラブレター」を見て人生を振り返れば、そこには「物語」が生まれてくる。
「あの娘が本当に好きだったけど、結局ケンカ別れしちゃったんだよなあ。そのあとに偶然出会った彼女と結婚して……もしあのとき別れなかったら、いまごろオレの人生は、どうなっていただろう?」などなど。これこそが「概念」である。
このように、「頭」の記憶では「さまざまな乱雑な情報」から、それぞれをつなぎ合わせて「1つの物語」をつくることができるのだ。
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