中小企業に降りかかる為替デリバティブ損失の重圧

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一方、全国銀行協会は紛争解決支援機関を設けており、10年度は同案件の斡旋申立件数が09年度に比べて約2倍(75件)に増えた。ただ、「多額の損失が生じて初めて、デリバティブ取引の中身を知った」と安易な契約事例も見られる。デリバティブ契約問題に詳しいある弁護士は「当時は円高のリスク感覚が薄かったのだろう。ただ、オプション契約までして為替リスクをヘッジするのは中小企業に向いてない」と指摘する。

全銀協の奥正之会長は25日の定例会見で、「企業を積極的にフォローし、各行が解決策を提供することが必要」と言及。融資を受けて契約を清算すれば、企業は借入増という別の“重荷”を背負う。デリバティブ倒産が沈静化しても、潜在的な不良債権の拡大懸念がくすぶり続けるだろう。

(井下健悟 撮影:尾形文繁 =2011年2月5日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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