なぜユニクロは批判されても売れ続けるのか アパレル業界を知り尽くした男が見た真実

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ひところは、ユニクロを着ている人があまりに多く、街中のあちこちでユニクロを着ていることがばれてしまって恥ずかしかったり、同じユニクロを着てかぶってしまったりすることを、ファッションジャーナリストから「ユニばれ」とか「ユニかぶり」など、と揶揄されたり、最近では経済評論家の先生方から「ブラック企業」扱いされたりと、表立って批判されることは多くても称賛されることが少なかったような感があります。

そんなユニクロがなぜ売れ続けるのか。この業界に長く携わり、関係者との情報交換も踏まえ365日来る日も来る日もお客様とファッションと商売を肌で感じてきた筆者の実感から、3つのポイントをお伝えします。

①消費者は正直

 消費者の評価は正直です。どこで誰がなにを評論しようとも、自分が良いと思ったものにしかお金は払いません。それはここ日本の消費者に限らず世界中の消費者に共通した思いのはずです。むしろ海外の消費者のほうがさらに厳しい選択眼を持っているかもしれません。その答えが売り上げ実績に出ています。

2014年8月期実績をみるとグループ全体で1兆3829億円。ユニクロは国内が7156億円、海外4136億円。国内アパレル1位、世界5位です。

これを達成するための努力は並大抵ではありません。たゆまない生地開発、商品生産とデリバリー、本社スタッフから店頭の販売スタッフにいたるまでの人事配置、そして店舗オープンと。柳井会長兼社長の自ら行なう頻繁な店舗リサーチ。その結果を中心に店頭第一主義に基づいた会議。地方の一商店からスタートした柳井氏の常に消費者目線に立った結論と実行。それを具体化したからこその消費者の答えがここにあります。

有力な幹部人材が外部から次々加入

②同業他社(他者)からの根拠ある支持

ユニクロは幹部クラスの優秀な人材の流出入も目立ちます。2002年にファーストリテイリングの社長に就任し、2005年に退職した現ローソン社長の玉塚元一氏はあまりにも有名。それ以外にも最近驚いたのは、2014年9月。元東京地検特捜部副部長がユニクロ社長室長へ転身しました。法曹界からアパレル企業への移籍は極めて異例なことで、法曹関係者の間でも驚きの声が上がっていたようです。

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