英国名門研究所の教え「17時には家に帰れ!」 思考のない“作業”は、研究ではない!

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家族と共に誉れの門へ

このカレッジ独自の伝統として特筆すべきことに、「三つの門」の伝統がある。所属する学生は、入学セレモニーへはThe Gate of Humility(謙虚の門)を通って向かう。日常的にはThe Gate of Virtue(美徳の門)を使い学生生活を送る。卒業時は通常使うことができないThe Gate of Honour (誉れの門)を通りセレモニーに参加する。カレッジからのメッセージ、学生に求める心構えが門を通るという習慣に込められているのだ。

カレッジのディナーホール。カレッジゆかりの偉人達の絵画とステンドグラスがある。ホーキングとDNAのらせん構造(カレッジの卒業生が発見)のステンドグラスなどもある

また、カレッジではフォーマルディナーが定期的に行われ、全員がガウンを着て中世から続く慣習にのっとって食事を楽しんでいる。

ケンブリッジの卒業式

誉れの門を通って学位授与式へ向かう

つい先日、ケンブリッジの学位授与式(卒業式)に出てきた。卒業時期が学生によってまちまちだったり、学期が終わるとすぐに故郷に帰る学生がいたりするので、この学位授与式はほぼ毎月のように行われ、学位を認められた者はいつでも出席できるようになっている。

カレッジごとに卒業生が集められ、うちのカレッジの学生は誉れの門を通っていよいよ式に向かうのだが、式は全てラテン語で行われる。当然、何を言っているのかさっぱりわからないため、事前に所作の練習を行っている。これは中世から続く儀式で、行われる空間も中世のままなのだという。

一人ひとりが、自分の名前を呼ばれると、学位授与者の前に進み出てひざまずき、何を言っているかわからないがありがたい言葉をいただいて、学位授与が完了する。

私は普段、こういう儀式には関心が薄いのだが、このときばかりは、脈々と受け継がれ、流れる歴史の中にいるという自覚もあって、感慨深かった。

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