gumiに学ぶ海外での採用に成功する秘訣 自社の「ステージ」を見極めることが重要

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では、マネージャークラスの人材はどのように獲得しているのでしょうか。引き続き、國光さんの言葉です。

「海外拠点のトップの採用はいちばん重要です。自ら現地に出向いて何時間もとことん納得するまで話をします。信頼できるトップを採用したら、その下に専属の採用担当者を置き、候補者に直接アクセスして採用する手法をとっています。インターネットサービスの会社やゲーム会社で働いている人でいい人がいたら、連絡をとり直接会って口説くんです。結果として、海外大手のゲーム会社から、かなりの数を採用してきました」

海外ではダイレクト・リクルーティングが浸透していて、社内に専任を置いている企業は決して珍しくありません。海外で人材獲得競争を勝ち抜くには、日本国内以上にダイレクト・リクルーティングが必要だということです。

採用市場をアナリスト的に捉える

どこに宝があって、それをどのように攻略するか。國光さんほど、採用市場をアナリスト的に捉えて業界のトレンドや競合分析をしっかりとやっている人はいないと思います。gumiの採用手法こそ、新しい時代にあった採用のやり方だと言えるでしょう。 

ちなみに、欧米進出の最初の地にフランスを選んだのも、欧米市場の可能性を見計らったのは当然のことながら、採れるであろう人材のことも考え抜いての決断だったといいます。「フランスは親日国家としても知られています。毎年開催されるジャパンエキスポも、毎回20万人、30万人が来場します。それに、日本のアニメが好きで、日本の企業で働きたいと思っている人も多いと聞き、欧米で知名度が上がってきたタイミングで進出を決断しました」。

とはいえ、採用したら終わりというわけにはいきません。いくらIT化が進み、ローカル重視の方針で会社を運営しているとはいえ、現地に任せっぱなし、連絡手段はメールのみというわけにはいかないと、國光さんは言います。

3カ月に一度は、國光さん本人が現地に行くか、あるいは主要メンバーに来てもらったりして、直接コミュニケーションを取るようにしているそうです。

僕は、採用と人材の引き留め(リテンション)はセットだと考えており、経営者主導でその部分を担っていくべきだと考えています。そこは國光さんも同様で、さきほど紹介した「3か月に一度は直接コミュニケーションを取る」というのも、そのひとつのやり方だと思っています。

なかでも、國光さんならではの引き留め策は、海外現地で「飲みニケーション」を含めた語り合いを通して結束を固めるというもの。國光さんいわく、万国共通で一緒に楽しい時を過ごすことが結束を固めるための良い手段だといいます。

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