66歳「フリーとして働きたい、どうすれば?」 これまでの積み重ねを活かすべきです

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さて、ここまでですでにお気づきかと思われますが、「フリーとして働く」には、「個々人の過去の実績」によるところが非常に大きいのです。

つまり、いきなり個人がフリー宣言して「何かできませんか?」という状態ではまったくもってダメです。過去の実績や経験をテコに「私はこういうことができるので、一緒に仕事をしませんか」と説明し、それを買ってもらう必要があります。

お客さんから買ってもらうためには、資格などは関係ありません。ビジネス経験のない有資格者よりも経験のある無資格者のほうが、少なくとも短期的には優秀だったりするのはご存じのとおりです。ですから、資格に頼るべきではありません。

よくビジネスは「ヒト、カネ、モノ」と言いますが、個人がフリーエージェント的に働く場面を考えると、重要なのは「過去の実績と信頼」です。そしてその両方とも、過去の積み重ねの上に成り立つものです。

自分マーケティングを行う

ところでFさんは元会社社長とのことです。その社長という肩書を誇るのではなく、個人としてどのようなスキルや経験を持っているか、などをしっかり振り返りましょう。要は「自分マーケティング」をキチンとしましょう。

それらを整理する中で、仕事に使えるものと使えないものが見えてくるはずです。繰り返しですが、会社の看板だからこそできていた仕事もあるため、その見極めは重要です。

そして小さくスタートし、経験を徐々に積んで手を広げていく、というのがいちばん確実な方法なのだと思います。

ポイントは、顧客が、一個人としてのFさんに発注をしたい、と思わせる何かを持っているか、だと思います。繰り返しですが間違っても、ここで一から勉強すればフリーとして活躍できるようなものではありません。それでは社会人経験のない学生でも勉強すれば誰でもフリーになれるのか、という議論になってしまいます。

66歳にして新たな挑戦する姿勢にあこがれますし、そういった方が増えると、日本もより元気になると思います。ただ新しい挑戦といっても、ご自身の今までの経験の積み重ねを大切にしてほしい、という趣旨で回答をさせていただきました。貴重な経験を活用し、後に続く世代のお手本となっていただければと思っております。 

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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