米国はキューバを再び「属国」にできるか かの国は、したたかな「赤いレアメタル大国」

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2014年12月、アメリカのオバマ大統領の演説を聞くキューバの人々(ハバナで)(新華社/アフロ)

歴史が動こうとしている。1月21日、アメリカがついにキューバと国交正常化交渉に入る。

昨年末の、突然のオバマ大統領の声明には、世界も驚いたが、私も驚いた。「歴史に名を残したいオバマ大統領と、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長の思惑が一致した」「原油価格急落で、キューバの友好国であるベネズエラのデフォルトが現実味を帯び、キューバ経済がいよいよ厳しくなった」など、巷間さまざまな分析がされているが、実は私もキューバには縁浅からぬものがある。今回はビジネスの立場から「キューバ問題の行く末」について考えてみたい。 

1年半前から、水面下で交渉が始まっていた?

1961年以来、米国はキューバと国交断絶状態にある。だが、キューバに駐在している私の友人の話では、すでにカストロ国家評議会議長は約1年半前から米国政府に接近、秘密裏に経済制裁を緩和するべく会談を重ねてきたという。

確かにオバマ大統領は2012年にミャンマーを突然訪問したり、2013年もイランのロウハニ大統領と電話で会談している。対キューバでも、2013年12月、南アフリカのマンデラ元大統領の葬儀の際、オバマ大統領がカストロ議長に歩み寄り、突然握手を交わしたことが、話題となったことがあったが、この時までに何度も秘密裏に交渉が始まっていたという。

背後には、カナダ政府やローマ教皇などの仲介があったとも報じられている。ラウル議長の任期は2018年2月だが、オバマ大統領の任期はさらに短い。すなわち2016年の秋には次のアメリカ大統領が決まるわけで、双方は2015年の内に、国交回復の方向性を具体的に決める必要に駆られているのだろう。

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