(第49回)日本企業のアジア戦略は間違っている

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 最近でもそうだ。機能を絞ったシンクライアント型低価格PCでは、台湾メーカーの強さが目立つ。今後は、中国メーカーが成長するだろう。インドのタタモーターズが08年に発表したナノは、1台27万円だ。インドのゴドレジグループが開発した冷蔵庫は1台6800円だ。インドに進出した日清食品のインスタントラーメンは1個10円だが、それでも売れないという。こうした市場が日本の活性化に寄与するだろうか?

「ボリュームゾーン」と呼ばれる中間所得層がアジアに成長しつつあるため、アジアの消費市場としての魅力は今後高まるといわれる。

「通商白書2010」は、「アジアの中間層は09年で8・8億人おり、今後10年間に2倍超に増加する」と述べている。また、富裕層は09年において、日本では9200万人、日本を除くアジアでは6200万人だが、5年以内に日本を抜くと指摘している。大坪氏も、「グローバル化とはボリュームゾーンに正面から取り組むことだ」と述べている。

新興国とは貧しい国である

しかし、「中間層」とか「富裕層」と呼ばれている階層の実態を見なければならない。アジアの中間層とは「世帯年間可処分所得が5000ドル以上3万5000ドル未満の所得層」であり、アジアの富裕層とは「世帯年間可処分所得が3万5000ドル以上の所得層」のことなのだ。中間層をさらに詳細に見ると、85%を占める7・5億人は、1万5000ドル未満である(グラフ参照)。しかも、ここにはシンガポール、韓国、台湾などの高所得国が含まれている。


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