商品をユーザーに届けるためには「作る」に加えて「伝える」「届ける」ところまでプランニングしなければいけない。しかし、モノづくりをされてきた職人気質の地元企業の社長の多くは「作る」で止まってしまうことが多い。だからこそ、消費者発想がイノベーションをもたらすのだ。
素人発想、玄人実行
筆者はもともと消費材メーカーで商品開発に従事していたのでこの感覚はよくわかる。いざ自分の商品になってしまうと顧客に対する知識も豊富だし、競合も熟知しているが、ありきたりな発想しか出てこなくなってしまうのだ。
同じ顔ぶれ、必要以上に詰め込んでしまった知識が枠を作り、視野狭窄を起こしてしまうのだ。せいぜい視野は30度くらい。だからこそ残り330度は枠の外から視点を集めることが大切だ。
こうした社外の知恵を借りて、イノベーションを生み出す動きは世界でも注目されつつある。カーネギーメロン大学の金出武雄教授はこのようなプロセスを「素人発想、玄人実行」と表現している。
今回の場合は、自由な生活者発想と、餅のプロフェッショナルのコラボレーションが生んだ素人発想、玄人実行の好例かと思う。餅は餅屋、アイデアはアイデ屋といったところだろうか。
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さかた なおき / Sakata Naoki
株式会社Blabo代表取締役CEO/ マーケター
外資系消費財メーカーのマーケティング部門にてブランド戦略立案、新商品開発に従事。その後、株式会社エニグモにて新規事業を立ち上げ、2011年に株式会社Blaboを創業。生活者のアイデアを取り入れた商品開発を行う日本最大の共創プラットフォームBlabo!を運営。Blabo!では1万4000人を超える生活者がプランナーとして活躍しており、キリンビールや三井不動産、ハウス食品などの大手企業から経済産業省、神奈川県、鳥取県などの行政機関まで、幅広いクライアントが採用している。 鳥取県プロジェクトが全国知事会先進政策大賞を受賞。2015年度グッドデザイン賞など受賞歴多数。「クローズアップ現代」(NHK)、「ニュースJAPAN」(フジテレビ)などメディア出演も多い。著書に『問題解決ドリル―――世界一シンプルな思考トレーニング』(ダイヤモンド社)などがある。
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