【産業天気図・パルプ/紙】堅調推移だが原燃料価格次第では洋紙値上げ効果帳消しの恐れも

2005年3月期の紙パルプ業界は、「晴れのちくもり」といった空模様だろう。
 足元は堅調。日本製紙連合会によると、2004年1~6月の内需実績は「紙」が前年同期比1.2%増、「板紙」が1.4%増。年初の連合会の内需予測(紙0.6%増、板紙0.8%増)に比べると、ほぼ倍の水準で推移している。かつて経済成長率と同様の拡大を続け、「GDP弾性値1」とも言われた頃に比べると力不足感は否めないが、景気回復を背景に、着実な足取りを示したといえよう。年後半も「景気拡大に伴い、前半と同様、緩やかな伸びが期待される」(連合会)。
 しかし、すでに製紙各社が期初から指摘している原燃料高の影響が、いよいよ下期から本格的に出てくる点には要注意だ。対抗策として、日本製紙をはじめ製紙各社は今年7月、秋需に向けて主要洋紙の約10%の値上げを表明。現在交渉途中だが、「一定程度の値上げは通る」(製紙中堅)との公算が大きい。ただ、今以上の原燃料高、特に原油の高騰は、値上げ効果を帳消しにしてしまう恐れもあり、予断を許さない。
 また、値上げによって割安の輸入紙が前期と同じように流入し、市況を下押しする懸念を指摘する声も聞かれる。逆に、旺盛な中国需要を理由に挙げ、国内市場が当面、輸入紙で撹乱される心配はない、とする向きもあるが、いずれにせよ、輸入紙の動向には原燃料高と同様、注意が必要だ。
 個別企業を見ると、日本ユニパックホールディングと王子製紙は売上高こそ横ばい程度ながら、リストラ効果で大幅増益が続く見通し。半面、いち早くリストラ効果を享受した北越製紙は原燃料高をこなしきれず、若干の減益を見込む。中越パルプ工業も燃料高と償却増で微減益を予想している。
 一方、板紙では、2位のレンゴーが昨年秋の値上げの通期フル寄与や、景気回復による段ボールの好調で増収基調。合理化効果等も加わり、大幅増益と見られる。紙パ業界全体としては、景気回復の恩恵とリストラ効果で原燃料高を補い、2004年度は総じて堅調だろう。
 続く2005年度も、ここ数年、利益の源泉だったリストラの効果が続き、程度の差こそあれ、「微増収・増益」の基調に大きな変化はなさそうだ。が、原燃料高が期初からのしかかって来る点が厳しいうえ、中国などで大型製紙工場の稼働が相次ぐ予定のため、輸入紙が増えるとの観測もある。現時点では、次第に「くもり」の様相を強めていく展開が予想される。
【内田史信記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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