漸減の「労働組合」、もう役割を終えたのか 組織率は4年連続で過去最低を記録

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「そうではありません。労働組合に加入することは、法律的には大きなメリットがあります。たとえば、労働組合が労働条件に関する交渉を求めた場合、会社はこれを拒否することはできません。 拒否した場合は、不当労働行為といって違法になります」

働いている企業に組合がない場合はどうしたらいいだろう。

「自分たちで組合を結成することも可能です。結成までは難しいという場合は、一人でも加入できる労働組合も多数あります。まずは、そこに加入して、後で労働組合を立ち上げることもできます」

仕事上の悩みを共有する場にも

自分の勤める企業と対立することになるのだろうか。

「企業から目を付けられると感じる人もいるかもしれませんね。しかし、もし会社が労働組合に所属した従業員を差別すれば、不当労働行為といって違法になります。むしろ労働組合を作って、自分たちの労働条件について会社と交渉できてこそ、正常な労使関係と言えます。

労働組合は、労働者同士が仕事上の悩みを共有する場にもなります。また、労働条件を変更しようという場合、労働組合を窓口として交渉をすれば社員に話が通りやすいという点で、会社側にもメリットがあります」

労働組合というと古い時代のイメージがあるが……。

「現在でも労働組合の必要性は変わりないでしょう。むしろ、重要性は高まっているのではないでしょうか。会社が労働条件を改悪しようとしてくる場合には、あきらめずに労働組合に加入しての交渉をお勧めします」

白川弁護士はこのように話していた。

白川 秀之(しらかわ・ひでゆき)弁護士
2004年、弁護士登録。労働事件が専門だが、一般民事事件も幅広く扱っている。日本労働弁護団常任幹事、東海労働弁護団事務局次長、愛知県弁護士会刑事弁護委員会委員。
事務所名:弁護士法人名古屋北法律事務所

 

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