映画業界絶好調の陰で苦悩するアート系映画

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90年代以降、年間の映画公開数は600本前後で推移していたが、05年に15年ぶりに700本を突破、06年には821本と過去最高を記録した。その後も700~800本前後の作品数が続いている(下図)。

これは00年以降に、インディペンデント系の映画制作会社、配給会社が多く誕生したことと無縁ではない。そのほとんどが邦画を手掛ける会社で、邦画の公開数は増加の一途をたどっている。

映画館のスクリーン数も増加傾向にあるが、シネマコンプレックス(シネコン)によるものだ。ただ、シネコンでの上映は、メジャー配給会社の話題作がほとんどである。最近は3D映画が登場し、一つの作品でも字幕版2D、字幕版3D、吹き替え版2D、吹き替え版3Dと、4種類の上映が必要となっている。

比較的興行規模の小さい映画作品がシネコンで上映されるのはわずかで、上映されたとしても1日1~2回といった、少ない上映回数になることが多い。そのため、公開を求めて、ミニシアターなどに配給会社が殺到する状況が生まれている。

場合によっては、上映まで8カ月~10カ月待たないといけない映画館もあり、「映画を買い付けても、すぐに公開できるわけではない」(前出の佐藤氏)状態。都心のミニシアターが閉館する一方で、地方では配給希望の映画が集中する傾向が強いという。

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