勉強しても結果が出ない中学生「3つの傾向」 そこには大人でも陥りがちな心理が!

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「期待値」に潜む落とし穴

では、「勉強しているのに成績が上がらない」最後の3つ目の理由です。それは「期待値が高すぎる」ということです。

メール対応も問題がない、勉強方法も悪くない場合、それでも成績が上がらない理由は、この期待値が高すぎる、という問題があることを疑ったほうがいいでしょう。

勉強をすれば確実に力はついているのですが、直線的に点数が上がっていくと錯覚しているため、時間が経てば経つほど、期待値と実際値が懸け離れていきます。

人間は、努力している自分をどうしても認めたいので、実際の伸びよりも高めの結果を期待してしまいます。期待したとおりにならないと、人間は「上がっていない!」と思い、それが焦りを生み、マイナス発言を引き起こし、行動に影響が出てきます。またこれが皮肉なもので、「全然上がらない! もうやめた!」と思った次の瞬間から上がったりします。

知識の習得や考える力は徐々についていき、あるライン(臨界点)に達すると急激に能力が上がるのです。スポーツの練習でもそうでしょう。会社で働くときでも力がついてきたと思うのは、一回りして仕事が慣れて全体像が見えてからでしょう。

しかし、初めのうちも努力しているのですから力自体はついているのですが、期待値がそれを邪魔してしまい、結果が出ないという錯覚を起こしていると、事前に知っておくといいでしょう。

岩谷さんの場合、受験勉強に本格的に入って数カ月しか経っていないかもしれません。ですから、本当に目に見えて力がついたと感じるのは試験直前、これからである可能性が大いにあります。焦ることなく、今の努力をそのまま続けていかれるといいでしょう。
 

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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